警察官を装う手口の特殊詐欺で、東京都北区の80代女性が現金約8千万円をだまし取られる被害に遭った。警視庁が5日に発表した。全国で同様の手口の被害が後を絶たないため、警視庁などが注意を呼びかけている。 赤羽署によると、5月18日~7月27日の間、実在しない「警視庁本部刑事2課」の職員をかたる人物から、女性の携帯電話に着信があった。この人物は「ランサムウェアによるウイルス拡散型のサイバー攻撃が発生し、500人が金銭的被害を受けた」と説明。攻撃の原因が女性だと指摘し、「被害者への補償金が必要。後で国から返還されるので、口座に振り込んで」などとうそを言い、女性に計58回にわたり計約7930万円を振り込ませたという。 現金が返還されないことを不審に思った女性が署に相談し、署は今月4日に被害届を受理した。 ■「警察官がたり」被害、急増中 こうした手口の被害は昨年、急増した。警察官を装い、事件の容疑者だと言って被害者を慌てさせる手口だ。今年も上半期(1~6月)だけで全国で4737件の被害が確認され、被害総額は389億3千万円に達した。 警視庁特殊詐欺対策本部によると、冒頭に「+81」が付く国際番号などからの着信が少なくない。担当者は「知らない番号からの電話には出ないようにしてほしい」と話している。(三井新) ■「警察官がたり」詐欺の被害防止策 ・「国際電話不取扱受付センター」(0120・210・364)を利用し、国際電話番号から固定電話への着信を受け付けないようにする ・スマートフォンの場合も携帯会社が提供するサービスで国際電話の着信を拒否する ・警察官をかたる人の電話に出たら、氏名、所属を聞き、一度切ってかけ直す ・LINEビデオ通話などで警察手帳や逮捕状を見せられたらすぐに110番通報 ※警視庁への取材による(西岡矩毅)