関税交渉のときのように動いた…韓国人拘禁・交渉「不安と緊張に満ちた3日間」

米国ジョージア州サバンナの現代(ヒョンデ)自動車グループ-LGエナジーソリューション(LGエンソル)の合弁バッテリー工場で今月4日(現地時間)、韓国人労働者300人余りが逮捕・拘禁された事実が知らされた直後、韓国大統領室は3日間にわたる非常対応体制に入った。大統領室高位関係者は7日、釈放交渉が終結した直後になってようやく「大統領室では随時会議が開かれ、各自がその役割を果たした」と、これまでの緊迫した雰囲気を伝えた。 李在明(イ・ジェミョン)大統領の最初の指示は「国民の権益が侵害されないよう徹底的に対処せよ」というものだった。李大統領がこれまで「国家の第一任務は国民の生命と安全を守ること」と強調してきたことから、今回の事態を韓米外交案件に先立つ「国民保護」問題として位置づけたのだ。こうした方針に従い、朴潤柱(パク・ユンジュ)外交部第1次官は6日、アリソン・フッカー米国務省次官と通話し、韓米関係上、重要な時期にこのような事態が発生した点について遺憾を表明した。朴次官はまた、韓国人が大挙して逮捕される場面がそのままメディアなどに露出した点についても懸念を示した。 拘禁2日目の5日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領のホワイトハウス発言によって、一時、韓国政府内の緊張感はいっそう高まった。トランプ大統領が記者団との質疑応答で「この事件については知らない」としながらも、「私の考えでは彼らは不法滞在者(illegal aliens)であり、ICEはやるべきことをやった」と答えたためだ。韓国大統領室は、下手をすれば韓米同盟にも悪影響を及ぼしかねない事案だと判断し、徹底して言葉を控え、ローキー(low-key)で対応した。 その代わり韓国政府は水面下では、今回の摘発がトランプ政権次元で推進されたのか、それともICEの判断だったのかを把握することに力を注いだ。韓国大統領室関係者は「トランプ政府の特定の意思などが込められていないのであれば、事態を早期に解決できると判断した」と伝えた。 現在、駐米韓国大使と駐アトランタ総領事の席がいずれも空席の状況で、米国側との交渉は中央政府が直接進めなくてはならなかった。外交部を中心に動きつつ、産業通商資源部・企画財政部が側面から支援した。韓米関税交渉妥結を導いたハワード・ラトニック米商務長官との「通商ライン」も再稼働したと伝えられている。大統領室関係者は「(7月末の)韓米関税交渉と似た方式で動いた」とし「国民の安全がかかっている以上、迅速な解決に向けて最大限の努力を尽くした」と語った。 韓国政府は、この工場建設が米国側の要請による経済投資である点を交渉戦略として強調したという。大統領室高位関係者は「米国が望む投資を共に進めていた過程であり、韓国企業が米国の『ジョブ(Job・雇用)』を増やすために行ったのではなかったか」とし「手続き的な違法があったのかは確認する必要があるが、全体的な脈絡もすべて考慮すべきだと説明した」と伝えた。 米国現地ではチョ・ギジョン・ワシントン総領事を班長とする現地対策班が拘置所近くの都市サバンナにキャンプを設け、拘禁された韓国人職員と領事面談を進めた。LGエンソルも同日、人事責任者を現地に急派し、趙顯(チョ・ヒョン)外交部長官と面談するなど、事態収拾に共にあたった。趙長官は帰国交渉を仕上げるため、8日に米国に出国する予定だ。 韓国大統領室は同日午後、メディアへの通知を通じて「韓米両国は事件の早期解決のためには、拘禁された我々国民全員がチャーター機で迅速かつ無事に帰国することが重要だという認識を基に細部協議を進めている」とし「今後、米国内の行政手続きが終了し次第、我々国民をチャーター機で一括帰国させる計画だ」と明らかにした。

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