尹前大統領 特別検察官設置法は「違憲」=裁判所に審判を申請

【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領側は9日、「内乱特別検事法」は違憲だとして違憲審判を申請し、これとは別に憲法裁判所に対し、違憲性の判断を求める憲法訴願を請求した。 内乱特別検事法は尹前大統領による昨年12月の「非常戒厳」宣言を巡る内乱事件を政府から独立して捜査する特別検察官を任命する法律。 尹氏側は「現行の特検法は、立法府(国会)が行政府の固有権限である捜査権に直接介入して特定政党を排除した状態で特別検察官を任命し、捜査範囲と対象を指定することで、権力分立の原則を根本的に毀損(きそん)している」とし、立法府が捜査自体に介入するのは、憲法が定めた権力分立の原理に正面から反していると主張した。 また同特検法には、国会議員の5分の3以上が賛成すれば、裁判所の令状発行がなくても強制捜査を認めるなどの条項があり、令状主義を形骸化させ、憲法の基本原則に反しているとも指摘した。 さらに、特別検察官の任命は検察が捜査を遂行できなかったり、捜査が著しく不十分であったりする場合に限り、補充的・例外的に認められる制度だとし、「しかし現行の特検法はすでに裁判が進行中の事件に対しても公訴維持目的の移管を許容し、特別検察官の補充性と例外性の原則に明確に反している。司法手続きに対する不当な介入であり、司法権の独立を侵害する結果を招く」と主張した。 また与党を中心とした国会が特別検察官の捜査範囲と期間を大幅に拡大した「強化版特検法」を可決させようとしていることについても、「立法府が行政権を事実上剥奪(はくだつ)するレベルであり、権力分立の原則を破壊する措置」と批判した。 「内乱特別裁判所」の設置を与党側が主張していることについても、「司法府に対する露骨な圧迫」とし「司法の政治化を招くだけでなく憲法が保障する『裁判官による裁判を受ける権利』を深刻に侵害するもの」と指摘した。 尹氏側は「憲法裁が今回の審判を通じて特検法の違憲性を明確にし、憲法が保障する権力分立と法治主義を正すことを要請する」とし「憲法裁の判断が自由民主主義の憲政秩序を守る最後の砦になるだろう」と強調した。 違憲法律審判は、法律が違憲か否かが裁判の前提になる場合、裁判所の職権または当事者の申請によって憲法裁に違憲審判を求める制度。裁判所が違憲審判の請求を決定した場合、憲法裁は審判手続きを進め、決定が出るまで、該当裁判は中止される。

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