公判で全面否認…被害者の証言どう判断 立ちんぼ狙った「大久保の刃物男」 法廷から

新宿・歌舞伎町の大久保公園付近で売春の客待ちをする「立ちんぼ」の女性を脅し、わいせつな行為をした上で現金を奪ったとして起訴された男の裁判員裁判が、東京地裁(新井紅亜礼(くあら)裁判長)で開かれている。警察官をかたって刃物をちらつかせる手口で犯行を繰り返し、SNS上で「大久保刃物男」として噂になっていたという男。公判では完全否認しており、被害を訴える女性らの証言の信用性などが争点となっている。 ■「逮捕状と警察手帳は自作」 強盗や不同意性交罪に問われているのは東京都三鷹市の調理師、難波正秀被告(62)。 起訴状などによると、令和5年7月~昨年5月、当時15~22歳の女性4人に刃物を見せて「逮捕されない代わりに体を差し出して」と脅し、歌舞伎町のホテルでわいせつな行為をしたなどとされる。4人はいずれも、大久保公園周辺で「立ちんぼ」をしていた。 検察側は冒頭陳述などで、被告が«通称名(公園立ちんぼ)氏名不詳»«5年以下の懲役または200万円以下の罰金に処する»などと記した偽の逮捕状や、偽の警察手帳を携帯していたと指摘。こうした「小道具」やナイフによって4人を抵抗できないようにし、わいせつな行為に及んだと主張した。 一方、被告は8月25日に行われた初公判の罪状認否で「全て違います」と、4つの事件全てを否認。「現金は奪っていない」「(性行為には)同意があった」「ホテルには行ったが行為には至っていない」などと、真っ向から反論した。 被告人質問では、偽の逮捕状や警察手帳について「(4人の被害者とは)別の女性に声をかけ、ホテルに行ったところ、カネをとられた。その女性を捕まえるために自作した」などと説明。逮捕状の文言は「適当に考えて作成した」とした。 ■「ODで記憶あいまい…」 事件はホテルの客室という密室で起きており、「目撃者」は被告と被害者のみ。周辺に防犯カメラはあるものの発生から1~2年が経過している上、遺留物などの物証も乏しい。公判では「被害者の証言」に注目が集まった。 証人として出廷した当時15歳の女性は「(被告に)『逮捕されたくなかったら体を売って』といわれた」などと証言。声をかけられた際の様子や、ホテルで被告にされた行為について、詳細に説明した。

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