■保護者説明会で明らかになった柘野容疑者の不適切行為 ・北斗中学校の保護者会 校長の音声 「本校の職員が大きな事件を起こしてしまいました。教職員への信用が失われたような状態になってしまいました」 北海道の施設で、少女の性的な動画を盗撮した疑いで逮捕された千歳市の中学校教諭、柘野啓輔(つげの・けいすけ)容疑者(41)。 クラス担任や部活動の顧問を務めていた現役教員の逮捕を受けて19日、学校は保護者に事件の経緯を説明しました。 その中で、柘野容疑者について、赴任した2021年からこれまでに、複数の生徒からセクハラ行為の申告や相談があったことを明らかにしました。 ・北斗中学校の保護者会での校長(音声提供:保護者) 「『友だちの生徒が頭をポンポンと触られて気持ち悪かった』や『部活中に寝そべってスマホをいじっていたので盗撮ではないかと疑った』」 柘野容疑者が赴任して4年半。 卒業生も柘野容疑者の不適切な行為や言動に不快感を抱いていたことが、取材でも分かりました。 卒業生(19日) 「部活のときに、ズボンを脱いで『短パンになれ』と言われた。当時からセクハラ先生という感じのあだ名はあった。ずっと携帯をいじっていて、こちらにカメラを向けていているようなしぐさをしてきて、撮っているのかな?みたいな。本当に気持ち悪い」 説明会では、子どもがセクハラの被害に遭ったことを吐露する保護者もいました。 ・保護者が話した内容(取材による再現) 「進路相談、先生と生徒が1対1で懇談する機会があると思うが、柘野先生からここでは言えないぐらいのとても恥ずかしい言葉をかけられた」 ■盗撮用カメラの確認作業には、柘野容疑者も参加 保護者らからは「校内での盗撮や、生徒の被害はなかったのか」という質問に対し、学校側は「捜査中で私たちにも分からない」と答えるにとどまる一方、7月に、校内に盗撮用カメラが仕掛けられていないかを確認する作業に、柘野容疑者も加わっていたことも明らかにしました。 ・北斗中学校の保護者会での校長(音声提供:保護者) 「複数で調査に当たることになっているんですよね。正直な話、そこに柘野容疑者も、もちろん関わっていたのは事実であります」 柘野容疑者が、中学校にカメラを仕掛けていたかは明らかになっておらず、逮捕後にも、校内を目視で確認し、カメラは見つからなかったと説明しましたが、保護者からは「正直信用できない」といった不満の声が上がりました。 説明会に参加した保護者 「捕まった先生が調べているからね。それがね自分で隠したものなら分かるだろうし、そこら辺はどうなんだろう」 「問題のある先生が、ずっと何年もいるわけで、それはどうなのかという感じはする」 「たびたび問題が報告されていたらしい。それに対して対応がぬるいのかなというのが正直な気持ち」 柘野容疑者は、6月にすでに逮捕されている名古屋市の教員らが作った、子どもたちの盗撮画像を共有しあうグループに加担した疑いが持たれています。 ■盗撮被害防止について専門家は… 子どもたちを、盗撮被害から守るにはどうしたらいいのか。 防犯設備士の資格を持ち、防犯アドバイザーの京師美佳(きょうし・みか)さんは、「教師への性善説を捨て、防犯カメラなど物理的に抑止する対策が必要」だと強調します。 防犯アドバイザー 京師美佳さん 「先生は聖職であり、正しい人間であるはずだという意識が根本にあると思う。そういった考えが現場での物理的抑止というものを制していると思う。物理的に犯行を行うことができない状況を作らない限りは、少なくもならないし止まらないと考えている」 ■明らかになった柘野容疑者の不適切行為 堀啓知キャスター: 学校の先生という職業は、信頼している職業の1つだと思っていたが、年頃の子どもを育てている立場からすると、憤りはあります。何を信じていいんだろうと。 堀内大輝キャスター: 柘野容疑者はどんな人物だったのか。19日の学校の説明会と取材で、数々の不適切な行為が明らかになりました。 柘野容疑者が赴任した2021年から、女子生徒や保護者から不快や不安を訴える相談があったということです。 具体的には… ▼2021年 ・先生が指定するユニフォームの丈が短くて嫌だ ▼2024年 ・頭をポンポンと触られて気持ち悪かった ・部活動中、寝そべってスマホを捜査していた。盗撮ではないか などです。 学校側は、その都度、厳重注意をした上で、担任から外したり、顧問を複数にしたりして対応したと説明しています。 堀啓知キャスター: これだけ多くの訴えがあったけれども、学校側は厳重注意だけにとどまっていたということです。 コメンテーター 鶴岡慎也さん: 娘を持つ父親として、許せない行為だと思う。やった本人が一番悪いが、そういう言動や行動があったなかで、こういう事案が起こった。行政や学校の対応が正しかったのか、検証はするべき。 ■被害防止のため対策と抑止策は… 堀啓知キャスター: 子どもを盗撮から守るために、北海道や札幌市はどんな対策をとっているのでしょうか。 堀内大輝キャスター: 後を絶たない教員による盗撮やわいせつ事案ですが、今回の事件を受けて、北海道教委は9月から、札幌市教委は8月から、北海道内の公立学校などで、『教職員の教室などへの私物スマホ持ち込み禁止』にしています。 1か月経過して、現状がどうなのか、札幌市教委に取材したところ「スマホを管理職に預けたり、職員質の机に置いたりはせず、引き出しやカバンに入れるなどしている。教職員の信頼に委ねているのが実態」ということです。 防犯アドバイザーの京師美佳さんによりますと… ・教職員に対する定期的な持ち物チェック ・校内に防犯カメラを設置し、対策を「見せる」ことが防犯の抑止につながる としています。 コメンテーター 鈴井貴之さん: スマホのせいじゃないですよね。教職員の意識が改善されないといけない。学校は比較的狭い組織なので、独自のルールの甘さが生まれてくる環境でもあると思う。子どもたちに大きな影響を与える大人は、親と先生。自覚とともに、組織として学校単位で、どう改善していくかということを考えてもらいたい。 堀啓知キャスター: アドバイザーのような存在が必要な可能性もあるのでは。柘野容疑者にかかわった子どもたち、教えてもらった子どもたちは、相当傷ついていると思います。根本的な対策が必要だと思います。