機械メーカー「大川原化工機」をめぐるえん罪事件で、会社側に刑事告発され不起訴処分となった当時の警視庁公安部の捜査員2人について、検察審査会が不起訴は「不当」と議決しました。 「大川原化工機」をめぐっては、軍事転用可能な機械を不正に輸出したとして、社長らが逮捕、起訴されましたが、その後、起訴が取り消され、今年6月に捜査は違法だとして国と都に賠償を命じた東京高裁の判決が確定しました。 この事件の捜査の中で、機械の温度についての捜査機関側に不利な実験結果などを捜査報告書に記載しなかったとして、会社側が当時の警視庁公安部の捜査員と上司の2人について刑事告発しましたが、東京地検は今年1月、いずれも「嫌疑不十分」で不起訴処分としており、会社側は、不起訴の処分は不当だとして、今年1月、検察審査会に申し立てをしていました。 会社側の代理人弁護士によりますと、この申し立てについて、検察審査会が今月17日付でいずれの不起訴も「不当」だと議決したということです。 議決では、「実験を実施したものの、結果的に立件するためには不十分であったために、報告する書類から除いたものと いわざるを得ない」「『立件ありき』で捜査を実施し、実験結果を記載しないことを選択することは許されるべきではない」などと指摘。 そのうえで、報告書の作成は「虚偽であることを認識した上で行っていると認められる。そして報告書の作成にあたって、上司に相談して行っていることから、2人の共謀も明らか」としています。 議決を受け、東京地検は今後再捜査し、改めて処分を決めることになります。