沖縄県の南城市議会は9月26日に“セクハラ市長”と第三者委員会に認定された古謝景春(こじゃけいしゅん)市長(70)に対する不信任決議案を賛成多数で可決した。 古謝氏への不信任決議案は過去3回提出されていたが、いずれも与党議員によって否決されていた。ただ今回は被害を訴える女性が古謝氏から口止め工作を画策しようとする音声が報道され、与党議員が不信任案を提出。4回目でようやく可決されたのだ。それにより古謝氏は10日以内に議会を解散しなければ失職する。 録音は生々しいものだった。 市長「(あなたに)ハグしたじゃない。これ第三者委員会に話したの?」 女性「え、わたし? いえ、違います」 市長「ハグはやったね。それを『キスをしたのではないか』と、皆言っているからさ」 とハグを認める発言が録音に残されていたが、今月に入ると主張を一転し 市長「ここで僕が最初に会った時に『古謝さん、お久しぶりですね』とハグしてきたのは、それだけは覚えているから。それ以外はやってないからさ」 と、女性からハグしてきたと責任逃れをしている音声が残っている。女性職員は、そういった市長からの圧力もあり休職を余儀なくされたという。 ◆親告罪ではない不同意わいせつ罪 「古謝市長の運転手をしていた女性がセクハラを訴え、女性からの被害届を受けた警察は、去年11月に強制わいせつの疑いで古謝市長を書類送検しましたが、那覇地方検察庁は今年2月に嫌疑不十分で不起訴にしました。ただ“無実”と“無罪”は違う。不起訴になったとはいえ、検察的に証明が難しかったというだけで、セクハラは一切なかったということにするのは疑問符がつく。今回は女性が録音も出してきたことで議会も動きましたし、捜査機関も関心を持ってみているそうです。古謝市長は辞職だけでは済まない可能性も。まさに窮地に追い込まれています」(ワイドショー関係者) 他にも市職員に実施したアンケートでは、「セクハラを受けた」と申告する回答が9件あった。体を触ったりキスをしたりというのは「セクハラ」という軽い言葉で終わらない可能性もあるという。 そこで本サイトは『森實法律事務所』の森實健太弁護士に話を聞いた。 「第三者委員会の報告どおり市長から職員への同意のないキスや太ももを触るといった行為があった場合、刑法第176条の不同意わいせつ罪にあたる可能性が高いです。これは親告罪ではないため告訴権者から告訴がなくとも公訴提起をされる可能性があります。現在も市長職についており、逃亡のおそれ等は低いことから、逮捕という身柄拘束はされないかもしれませんが、今後、警察の市長等への事情聴取や場合によっては書類送検も考えられます。仮に起訴・有罪となった場合、6月以上10年以下の拘禁刑に処されます」 最近は全国的に自治体の首長の“乱れ”が度々報じられる。時には市民などから刑事告発されることも多くなってきた。複数女性が被害を訴えている今回の件、沖縄の捜査機関の動きにも注目したい――。