都市部を歩くと、「青地に白い二本線が入った大型バス」を見かけることがある。窓には金網が張られ、威圧感を与える外観から、護送車や容疑者を乗せた車両と勘違いする人も少なくない。しかし、実際には被疑者は乗っていない。この車両は警察官を輸送するための「人員輸送車」である。本稿では「警察バス」と呼ぶことにする。 警察バスは主に機動隊の移動手段として使われており、いわゆる「機動隊カラー」と呼ばれる青と白の塗装が施されている。小型のワンボックスから大型バスまでサイズは幅広く、用途に応じて使い分けられている。特徴的な金網は投石対策であり、暴動や大規模デモへの備えとして装着される。見た目の物々しさとは裏腹に、内部は一般的な座席レイアウトで、分隊単位の警察官が乗車している。 ここで重要なのは、被疑者の移送に使われる「護送車」との違いだ。護送車は窓に鉄格子を備え、逃走防止を目的とした構造になっている。一方、警察バスは人員輸送が目的であり、逮捕者や容疑者が乗ることはない。この点を理解していない市民は多く、SNS上では「街で護送車を見かけた」と誤解して拡散されるケースもある。