電車内で不審な人物を見つけ、110番通報したことで特殊詐欺事件の解決に貢献したとして、警視庁上野署は29日、大学1年の宍戸来威矢さん(18)=東京都台東区=に感謝状を贈った。宍戸さんは多くの違和感を見逃さずに通報したといい、坂井明徳署長は「不審な状況に遭遇したら間違いでもいいので、ためらわず通報してほしい」と呼びかけた。 上野署によると、宍戸さんは6月23日午後5時過ぎ、JR山手線内で多くの座席が空いているにもかかわらず、自分の隣に座った50代女性に違和感を覚えた。女性は汗だくで、何かにおびえるように周囲を見ては自身のスマートフォンを確認するという動きを繰り返していたという。女性を見張っているとみられる大柄な男の姿もあった。 宍戸さんは女性と同じ駅で降り、女性を追跡しながら110番通報。女性は、「捜査に協力しないと逮捕する」とする警察官をかたる詐欺グループにだまされ、高齢男性から詐取金850万円を受け取っていた。女性は200万円を別の人物に渡していたが、650万円は手元に残っていた。上野署は詐欺事件として捜査している。 宍戸さんは「110番通報したことで、自分が1ついいことをしたと感じる。少し平和に貢献できた」と振り返った。