罪の意識「全くないですね」 宝塚ボーガン殺傷事件の被告、裁判員に

兵庫県宝塚市の住宅で2020年、洋弓銃ボーガン(クロスボウ)で家族ら4人を殺傷したとして殺人と殺人未遂の罪に問われた、無職野津英滉(ひであき)被告(28)の裁判員裁判が2日、神戸地裁(松田道別(ちわき)裁判長)であり、被告人質問が終わった。被告は、罪の意識について裁判員に問われ「全くないですね」と述べた。 被告人質問は9月30日にもあった。被告は終始、背中を丸めてうつむいた状態で、淡々と質問に答えた。時間をかけて回答することもあった。 被告人質問や被告の陳述書によると、被告は以前から母、弟、祖母に対して不満を抱いていた。18年夏からは脳や腸の状態が悪く、部屋に閉じこもるようになり、死にたいという思いを募らせるとともに、苦しみの原因は3人にあると考えた。 そこで、この3人を殺害して逮捕され、裁判を通じて自分の苦しみを「知人」に理解してもらい、死刑になろうと考えた。確実に死刑になるために、伯母も殺害の対象とした。 また、「人が人を殺すことへの抵抗感」から、ナイフでの殺害を諦め、当時所持などに規制がなかったクロスボウを使うことにした。事件当日の抵抗感について松田裁判長に問われ「無くはなかった程度」と述べた。この事件をきっかけにクロスボウが銃刀法の規制対象になったことについて検察官が尋ねると「知らないですね」とした。 今後について弁護人に問われた際は、「早く死刑になりたい」と述べた。また、裁判官が苦しみを知って欲しいという目的は達成されたと考えるか問うと、「伝わろうが伝わらなかろうがもはやどうでもいい」と述べた。 被告は20年6月4日午前、自宅で祖母の好美さん(当時75)、弟の英志(ひでゆき)さん(同22)、母のマユミさん(同47)の頭にクロスボウの矢を放って殺害。伯母(55)も撃って首の骨を折るなどの傷害を負わせたとして起訴された。 判決は、31日に言い渡される予定。(根本快)

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