20年間亡命の政治家、来年2月の総選挙に向け帰国へ バングラデシュ

ミル・サッビルBBCニュース・バングラ(ベンガル)語編集長 バングラデシュの次期首相候補と目されている人物が、20年にわたる外国生活を経て帰国すると述べ、歴史的な選挙に臨む意向を表明した。 バングラデシュ民族主義党(BNP)のタリク・ラーマン総裁代理は、約20年ぶりとなる対面インタビューで、「時は来た。神の御心があれば、私はまもなく帰国する」とBBCベンガル語に語り、数カ月にわたる臆測に終止符を打った。 BNPは、2026年2月に予定されている総選挙に向けて、他党をリードしている。党首の病状が悪化している中、勝利のあかつきには、息子ラーマン氏が政権を率いると広く見られている。 バングラデシュでは昨年8月、3回首相を務めたシェイク・ハシナ氏が大規模な抗議活動を受けてインドに逃亡。1年後の今年8月に、暫定政権を率いるノーベル賞受賞者のムハマド・ユヌス氏が、総選挙の実施を発表した。 この選挙は、同国の歴史の中でも最も重大な選挙の一つと見なされている。ハシナ氏が率いていたアワミ連盟は、選挙への参加が認められない見通しだ。 国連の調査官によると、2024年の騒乱では最大で1400人が死亡しており、その中には、ハシナ氏を失脚させた学生主導のデモに対する致命的な弾圧も含まれていた。 インドに逃れたハシナ氏は、これらのデモの最中に行われたとされる人道に対する罪について、欠席裁判にかけられている。 ハシナ氏が失脚して以来、多くの人々が、ラーマン氏はなぜ2008年から居住しているロンドンにとどまり続けているのかと疑問を呈してきた。 「おそらく、いくつかの個人的な理由により、帰国はまだ実現していない。しかし、私は時が来たと思っている」と、ラーマン氏は述べた。 「これは、人々が待ち望んでいた選挙だ。この時期に自分を遠ざけておくことはできない」 アワミ連盟は、15年間にわたる統治の中で、長年の政敵であるBNPやその他の反対勢力を徹底的に弾圧してきた。ラーマン氏は、欠席裁判で多数の有罪判決が出されたが、ハシナ氏の失脚後、すべての罪状について無罪となった。 主要な政敵が不在のため、多くの人々が、次の総選挙ではBNPが優位に立つだろうと推測している。そして同党が勝利すれば、58歳のラーマン氏が次期首相になるとみられている。ラーマン氏の母であり元首相のカレダ・ジア氏は、80歳で病気のため、選挙運動に積極的に関与する可能性は低い。 しかし、同国最大のイスラム主義政党であるイスラム協会(JI)は、過去1年間で一定の支持を得たように見える。同党の学生組織は、国立大学2校の学生自治会選挙で初めて過半数を獲得し、党勢を活気づけた。 一方、抗議デモを主導した学生指導者らが率いる新党「国民市民党(NCP)」は、学生自治会選挙で大きな支持を得ることができなかった。若者主導の政党として、自らの地盤で敗北したことは、国政選挙での見通しに疑問を投げかけている。 バングラデシュ最大の隣国であるインドとの関係は、ハシナ氏がインドに逃亡して以来、緊張している。 バングラデシュの裁判所はハシナ氏に対する逮捕状を出しており、バングラデシュ政府はインドに身柄の引き渡しを求めている。インド政府はこれに対し、公式な反応を示していない。 インドとの関係は、バングラデシュの政治において敏感な問題だ。同国は、その陸上国境の大部分をインドと共有している。BNPを含む各政党は、アワミ連盟を支持してきたインド政府を一貫して批判しており、その中には、アワミ連盟政権下で実施された3回の物議を醸した選挙も含まれている。 暫定政権は、改革案をめぐって政党間の合意形成を図っているが、進展は遅れている。多くのバングラデシュ国民、特に昨年の蜂起を主導した若者たちにとって、基本的な自由の確保は、次期政権を評価するうえでの重要なポイントとなるだろう。 (英語記事 Exiled leader to return to Bangladesh for historic vote after uprising)

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