2025会計年度(2024年10月1日〜2025年9月30日)に、メキシコから不法に国境を越えてアメリカへ入国した人の数が、過去50年以上で最も低い水準を記録したことが、米メディアが入手した連邦政府のデータで明らかになった。 BBCがアメリカで提携するCBSニュースが入手した米国土安全保障省(DHS)の統計によると、ジョー・バイデン前政権下の4カ月間を含む2024年10月1日〜2025年9月30日までの間に、米国境警備当局が阻止したメキシコからの不法越境者はのべ23万8000人だった。 ドナルド・トランプ氏が1月20日に大統領に就任してからの約8カ月間では、ひと月あたりの不法越境者は9000人未満だったと、CBSは報じた。 これは、1970年に国境警備当局が約20万2000人の不法入国を阻止して以来の最低水準。 「この数字は国境警備の進歩を示している」と、「ナショナル・イミグレーション・フォーラム」のジェニー・マレー会長は指摘。与野党とホワイトハウスは移民法案の成立に向けて取り組む必要があると付け加えた。 CBSが入手した初期データによると、2025会計年度の国境警備当局による摘発件数のうち、半数以上はバイデン前政権下の2024年10月1日〜12月31日に記録されていた。 この摘発件数は、アメリカに不法入国した人を、正式な入国地点で阻止し、手続きを取った回数を表すもので、同じ人が摘発された後に再び越境を試みた場合もカウントされる。 米税関国境警備局(CBP)によると、バイデン前政権下の4年間では合わせて約1100万件の摘発が記録された。 ホワイトハウスのアビゲイル・ジャクソン副報道官はBBCに対し、国境に関する最新の統計は、トランプ氏が国境の安全を確保するという公約を果たしていることを示すものだと述べた。 「その結果、米国民が置かれた状況はより安全になった。審査を受けていない犯罪者の不法移民や危険な薬物が、無制限に国境を越えて流入することはもはやなくなった」との声明を、ジャクソン氏はメールで送信した。 「国境の安全確保は不可能だとか、新たな政策が必要だと主張していた民主党の皆さんへ。私たちに必要だったのは新しい大統領だったということだ」 トランプ氏は1月に大統領に就任すると、移民に関連する多数の大統領令に署名。国境への追加部隊の派遣や、亡命申請の停止、移民税関捜査局(ICE)が逮捕・拘束する権限の拡大などを次々打ち出した。 共和党を率いるトランプ氏は、アメリカで生まれたほぼ全員に自動的に市民権を与える「出生地主義」の廃止も目指している。 また、在任中に数百万人の非正規移民を国外退去させるとも誓っている。ここ数週間では、カリフォルニア州ロサンゼルスやイリノイ州シカゴなどの主要都市で、移民の摘発を進めている。 (英語記事 Illegal US-Mexico border crossings hit lowest level in over 50 years)