市職員へのセクハラ問題を巡って不信任決議を受け、市議会を解散した沖縄県南城市の古謝景春市長の後援会事務所が壊された事件で、建造物損壊容疑で現行犯逮捕された男が犯行直前、近所の人に古謝市長の自宅を尋ねて回っていたことが9日、分かった。男は自宅を特定できなかったため、無人の事務所を訪れ、つるはしで窓などを損壊した。産経新聞は犯行の瞬間をとらえた映像を入手した。 県警与那原署によると、逮捕されたのは、同県糸満市の農業の男(57)。逮捕容疑は7日午後2時45分ごろ、南城市知念安座真の古謝氏の後援会事務所の窓などをつるはしでたたき割ったとしている。事務所は無人でけが人はなかった。同署は犯行に至る経緯や動機を追及する方針。 現場を通りかかった人が犯行時の様子を撮影。映像には、事務所の窓の前に立ち止まった男が、無言で何度もつるはしを振り下ろし、執拗(しつよう)に窓を割る様子が映っていた。 犯行直前、男は近所の男性に「市長の家はどこか」と尋ねていた。男性は「申し訳ないが、個人情報なので教えられない。理解してほしい」と自宅の場所を伝えなかったという。 産経新聞の取材に男性は「まさかこんなことが起きるとは思わなかった。市長の自宅を教えなくてよかった」と話した。 男は犯行後、軽トラックで逃走。午後3時20分ごろ、事務所から数キロ離れた南城市内の路上で警察官に確保された。 古謝氏は巡っては、市が設置した第三者委員会は5月、古謝氏による複数のセクハラ行為を認定し、市議会が9月26日の本会議で古謝氏の不信任決議を可決。古謝氏は今月6日、「辞職すると、否定していた事案まで認めることになる」として、市議会を解散した。