「いずれも間違いありません。本当に申し訳ありませんでした」 事件当時小学生だった5人の女児に性的暴行を加え、さらに犯行の一部を動画撮影した男は、初公判の冒頭でその罪を認めた。しかし、彼が裁判で事件の詳細について語ることはなかった──。 「’24年10月19日、千葉県警は小学生のAさんを千葉県内の空き地内に連れ込み、性的暴行を加えてケガを負わせたとして、東京都江戸川区の配達業、友野勝被告(33)を不同意性交等致傷の疑いで逮捕しました。Aさんの母親が『娘が若い男に体を触られた』と110番通報し、防犯カメラの解析などの捜査から友野被告が浮上しました。友野被告は『おおむね合っています』と容疑を認めています。 その後、友野被告から押収したスマホを解析した結果、別の女児へも性的暴行を加えていたことが次々に明らかになりました。千葉県警は11月20日、小学生のBさんをアパート敷地内に連れ込み、性的暴行を加えたとして、不同意性交等の疑いで友野被告を再逮捕しています」(全国紙社会部記者) 10月14日、友野被告の裁判員裁判の判決が千葉地裁で言い渡される。 友野被告は事件当時7~11歳だった5人の女児への不同意性交等致傷、不同意性交等、性的姿態等撮影、児童ポルノ禁止法違反の4つの罪に問われ、さらに成人と思われる2人の女性への性的姿態等撮影の罪にも問われていた。 10月2日の初公判では、検察官が読み上げた起訴状や冒頭陳述などから、友野被告のあまりにもおぞましい犯行が明らかになった。 「被告人は一緒に住んでいた女性から令和元年に起こした盗撮事件について責められたことからストレスを溜め、それを発散するために小学生女児に性的暴行を加えようと考えました。そして、下校中の小学生女児を探して、千葉県内を徘徊する中で、本件各犯行に及びました」 ◆1時間ほどの間に3人の女児を… 「被告人は’24年4月中旬、下校途中のBさんをアパート敷地内に連れ込み、性的暴行におよび、その様子をスマホで動画撮影するなどしました。被告人は犯行後、Bさんに『お父さんとかお母さんに言ったら、殺すからね』などと口封じをしました。 Bさんは、現在まで、両親にも被害を受けたことを話しておらず、被告人のスマホから発見された動画から、(Bさんの)両親の協力を得て、被告人の犯行を特定しました」 「被告人は’24年9月下旬、下校途中のAさんに『奥にケガをしている女の子がいる』などと嘘をついて、空き家の敷地内に連れ込み、『泣いたら殺すよ』などと言って性的暴行を加え、その様子を動画撮影しました。その際に、Aさんにケガを負わせています。 Aさんがその日のうちに両親に被害を訴え、両親が警察に通報したことから、捜査が開始されました」 Aさんの両親から通報を受けて捜査が開始されていた、まさにその時に、友野被告は盗撮にも及んでいる。 「被告人は’24年9月28日と10月3日、駅構内や路上で、成人と思われる女性のスカートの下にスマホを差し入れ、下着を盗撮しました」 その後も友野被告の犯行は止まらなかった。10月19日に逮捕される直前には、なんと、わずか1時間ほどの間に、3人の女児に次々と性的暴行を加えていた。 「被告人は’24年10月中旬、下校途中のCさんをアパート敷地内に連れ込み、『殺すよ』と脅して性的暴行を加えましたが、Cさんが泣きやまなかったことから、逃走しました。 その約10分後、下校途中のDさんを駐車場内に連れ込み、脅して性的暴行を加えましたが、Dさんが防犯ブザーを鳴らしたことから、逃走しました。 さらにその約30分後には下校途中のEさんをアパート敷地内に連れ込み、性的暴行を加えてその様子を動画撮影しました。Eさんの事件についても、Eさんも、現在まで、両親に被害を受けたことを話しておらず、被告人のスマホに保存されていた動画から、(Eさんの)両親の協力を得て犯行を特定しました」 検察官は冒頭陳述の最後にこう述べた。 「被告人は’24年10月19日にAさんの事件で逮捕され、その後順次、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん、それぞれの事件で逮捕され、起訴されました。なお、被告人はBさんの事件で逮捕されたのちは取り調べを拒否し、捜査に協力することはありませんでした」 ◆被告は事件について何も語らなかった 次に弁護人が「この事件は痛ましい事件です」と冒頭陳述を始めた。「この裁判では、友野さんが、事件やそれ以外のことについても話をしないことになっています」と述べ、さらに次のように裁判員たちに説明していた。 「友野さんは、どの質問にも答えないことになっています。友野さんの気持ちについて話すことも、何か言い訳をすることもありません。友野さんが黙秘をしたという事実のみをもって、もちろん、刑を軽くすることも重くすることもできません」 前述の通り友野被告は取り調べを拒否して捜査には協力しなかったが、裁判でも、冒頭で起訴事実を認めた以外は何も語らないというのだ。また、弁護人は、検察官が証拠として提出した犯行の場面が映った動画についても次のように要請した。 「この証拠には、事件の場面が映っています。当然、女の子が映っています。もし将来、女の子が、自分のこの映像が、裁判で他の人の目に触れたと知ったら、取り返しのつかない傷になります。弁護人はそういった傷も考えて、動画は証拠にしないべきだと考えています」 裁判員は、犯行状況が撮影された動画の一部をキャプチャーした静止画に、検察官により被害女児の目に黒いマスキング、友野被告の性器にモザイクがかけられ、友野被告の発言内容や撮影された状況を文字起こししたものを見ることとなった。 裁判員が動画を見る前に、検察官はこう付け加えた。 「検察官は、被告人の音声と動画の一部を静止画としたものを証拠として請求しましたが、弁護人の反対により、証拠として採用されませんでした。文字起こしによっては、本件の実態は伝わりにくく、人によっては受け取り方が変わってしまう恐れもあるため、現時点でも、動画そのものや、音声を直接、確認してほしいと考えています。 裁判員の皆さまにとってはショッキングな内容かもしれませんが、今回の事件の内容を最低限ご理解いただくために必要な証拠です」 画像は、女児が泣きながら性的暴行を加えられている様子を克明にとらえており、正視に耐えないものだったという。裁判員には、顔をしかめたり、一瞬、目をそむける人もいた。 そして弁護人の言葉通り、友野被告は被害者への謝罪の言葉を口にする場面はあったものの、裁判を通して事件について話すことはついになかった。検察官は「卑劣で悪質な犯行」と懲役28年を求刑。弁護人は「懲役14年が相当」としている。 5人の少女たちを恐怖に陥れて深い心の傷を負わせた重い罪を認め、謝罪の言葉を口にしながらも、事件について自身の言葉では語ることのなかった友野被告。裁判員は彼にどのような判決を下すのだろうか。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文・写真:中平良