ルーブル美術館で19日、美術品の強盗事件が起きたが、同様の盗難は国内外で後を絶たない。 ■モナリザは2年後回収 ルーブルでは1911年にレオナルド・ダビンチの名画「モナリザ」が盗まれ、「美術史上最大の盗難」として知られている。約2年後に男が逮捕され、作品は無事に回収された。近年でも2003年に英ウィットワース美術館でゴッホ、ピカソ、ゴーギャンの絵画3点が盗難被害に遭い、数日後に近くの公衆トイレで発見される事件も起きている。 ルーブルで今回、宝飾品が狙われたように、ターゲットにされるのは絵画だけではない。国内でも、22(令和4)年に山梨県立美術館で香炉が盗まれ、高級腕時計の盗難事件で逮捕された男の押収物から見つかった。 ■盗品売り抜けは難しく 古美術業界の関係者は「盗品を自ら鑑賞するというのは、聞いたことがない。多くが金目当てだ」と指摘する。コレクターとの人脈など独自ルートがあるケースは別として、絵画を換金するには画廊に持ち込むか、自ら競売にかけるなどの手段に限られるという。国内では、窃盗被害に遭った美術品は警察が手配書を業界関係者らに配り、警戒を強めるため「盗品を売り抜けるのは難しい」(関係者)とする。 12(平成24)年には、長崎県対馬市の寺から盗まれた仏像が韓国へと持ち出された。所有権を巡る裁判を経るなどし、今年返還された。(市野澤光)