中国フェンタニル密輸組織幹部、キューバで拘束 メキシコと米国が指名手配

【AFP=時事】7月にメキシコで勾留中に逃走し、米国からも指名手配されている合成麻薬「フェンタニル」を米国に不正輸出する中国組織の幹部がキューバ当局に拘束された、メキシコの治安当局筋が22日、AFPに明らかにした。 「王兄(Brother Wang)」の通称で知られる張志東(Zhi Dong Zhang)容疑者は、身柄引き渡しの決定が出るまでキューバにとどまるという。 張容疑者は、米国が「外国テロ組織」に指定しているメキシコの麻薬組織(カルテル)「シナロア・カルテル」および「ハリスコ新世代」と緊密に連携しているとされる。 張容疑者は2024年10月、メキシコで拘束された。マネーロンダリング(資金洗浄)の容疑で逮捕状が出ている米国への身柄引き渡し審理を待つため、首都メキシコ市の拘置所で勾留されていた。 後に自宅軟禁となり、7月に逃亡した。 メキシコのオマル・ガルシア・アルフシュ治安・市民保護相は昨年、張容疑者について、「主要な国際マネーロンダリング実行者」とみなされていると指摘。「中国から中米、南米、欧州、米国へフェンタニルを密輸するため、他のカルテルとのコネクションを確立した」と付け加えた。 ドナルド・トランプ大統領率いる米政権は、メキシコと中国に対し、麻薬、特にフェンタニルの密売を抑制するよう圧力をかけてきた。 フェンタニルは合成オピオイドで、ヘロインの50倍の効力を有する上、生成がはるかに容易で安価だ。米国では、オキシコドンなどのオピオイド系鎮痛剤やヘロインに取って代わり、フェンタニルが過剰摂取の原因となっている。 クラウディア・シェインバウム大統領率いるメキシコ政権は、トランプ氏からの関税圧力を受け、麻薬の取り締まりを強化している。トランプ氏は、問題が解決されなければさらなる懲罰措置を講じると警告している。 米国で販売されるフェンタニルの主な供給源はメキシコだったが、米政府は今、中国に拠点を置く原料供給業者にますます焦点を絞っている。 キューバの首都ハバナの消息筋はAFPに対し、張容疑者はメキシコに引き渡される予定だと述べたが、具体的な日付や手続きの詳細は明らかにしなかった。 キューバ共産党は、張容疑者の逮捕報道について公式にコメントを出していない。【翻訳編集】 AFPBB News

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