「カンボジアで仕事がある」SNSの甘い誘いで80人が消息不明、遺体で発見も…Z世代を狙う国際犯罪組織の罠

東南アジアのカンボジアで、韓国人の若者たちが相次いで行方不明となる事件が起きている。高収入の仕事や海外での就労機会を餌に巧みに誘い出され、監禁や暴行の末に命を落とす者まで現れた。「デジタルネイティブ」と呼ばれるZ世代が、SNSを通じて犯罪組織の罠にはまっていく。しかしこれは韓国だけでなく、中国、ウクライナ、そして日本でも同様の事件が発生している、広域的な犯罪だ。国を越えた協力体制の構築など、早急な対策が必要ではないだろうか?(韓国在住ライター 田中美蘭) ● 80人以上の韓国人の若者がカンボジアで行方不明に 今月に入り、東南アジアのカンボジアで韓国人の若者たちが相次いで行方不明となっている事件が報じられ、韓国社会に衝撃と動揺が広がっている。10月15日の報道時点で把握されているだけでも約80人もの韓国人がカンボジアに渡航した後、連絡が途絶えるなど消息を絶っているという。実数はさらに多いと見られ、事態の深刻さが浮き彫りになっている。 日本でも各地で頻発している強盗事件や詐欺電話による被害の背後に、海外を拠点にした犯罪グループが言葉巧みに求人募集をよそおって「闇バイト」と呼ばれる犯罪の人員を集めていることが問題視されているが(参考記事)、今回のカンボジアでの事件でも背後には国際的な犯罪組織があると見られている。連日続く報道に国民の不安も大きく、ついには韓国政府がカンボジアへの渡航を自粛するよう勧告を出す事態にまで発展し、影響が広まっている。 ● なぜカンボジアで?〜ある男子大学生と女性の死 韓国でこの問題が発覚した発端は、今年8月にカンボジアの山中で韓国の20代の男子大学生の遺体が発見されたことだ。遺体には激しい暴行を加えられた跡があり、さらに男子大学生が「カンボジアで開催される博覧会に先輩に誘われたので行く」と家族に伝えた後、カンボジア入国後に連絡が取れなくなったという経緯から、この男子大学生が犯罪に巻き込まれ、監禁や暴行の末に命を落としたと見られている。 すでに8月に男子大学生が死亡していたにもかかわらず、事件が明るみになるまで時間を要していることなどから、全容の解明は難航しそうだ。しかし、男子学生を「誘った」とされる先輩という人物が他人名義の通帳売買に関わっていたとして韓国で逮捕されていることなどが明らかになってきており、組織的な犯罪の一端が見え始めている。

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