米移民当局、イスラエルを批判するイギリス人ジャーナリストを拘束 「テロ支援」と主張

イスラエルを厳しく批判してきたことで知られるイギリス人ジャーナリストでメディア評論家のサミ・ハムディ氏が26日、米移民税関捜査局(ICE)に逮捕された。 米国土安全保障省(DHS)のトリシア・マクローリン報道官は同日、ソーシャルメディアで、ハムディ氏が先週末にアメリカで講演ツアーを行っていた際、ICEの職員によって拘束され、査証(ビザ)が取り消されたと発表した。 国外退去を待つ間、ハムディ氏はICEの拘束下にあるという。 米国務省とDHSは、ハムディ氏がテロを支持し、国家安全保障上の脅威をもたらすと主張している。一方、イスラム教徒の権利擁護団体は、ハムディ氏が政治的な標的にされ、言論の自由が侵害されていると主張している。 国務省は、ハムディ氏の拘束に関する投稿の中で、「これまでも述べてきたが、改めて言う。アメリカ合衆国には、テロを支持し、アメリカ国民の安全を積極的に脅かす外国人を受け入れる義務はない」と述べ。こうした活動に関与する人物のビザを、今後も取り消していく方針だと付け加えた。 BBCの取材に対し、DHSとICE、国務省はいずれも、ハムディ氏がテロを支持しているとされる証拠について回答しなかった。 ■米極右活動家がハムディ氏を批判 中東情勢に関する解説でイギリスのテレビ局に頻繁に出演しているハムディ氏は、26日にサンフランシスコ国際空港で拘束された。イスラム教徒の市民権擁護団体「アメリカ・イスラム関係評議会(CAIR)」は声明で、「ガザにおけるイスラエルによるジェノサイドへの批判が原因とみられる」と述べた。 ハムディ氏は25日、CAIRサクラメント支部の年次懇親会で講演した。翌26日にはCAIRフロリダ支部の集まりで講演する予定だったが、その前に拘束された。 「この国は、常軌を逸したイスラエル第一主義者の要請に応じて、イスラエル政府を批判する人たちを拉致することを、やめなければならない。これは『イスラエル・ファースト』の政策であって、『アメリカ・ファースト』の政策ではない。直ちに終わらせるべきだ」と、CAIRは声明で主張した。 CAIRは、ハムディ氏を直ちに釈放するようICEに求めるとともに、弁護士がこの「不正義」に対処するために対応していると説明した。 ハムディ氏の拘束は、極右の政治活動家でトランプ氏の盟友でもあるローラ・ルーマー氏が、ハムディ氏がテロ組織を支持しているとソーシャルメディア「X」上で連投した後に起きた。CAIRは、ルーマー氏が「反イスラム的な陰謀論」を広めていると指摘している。 ハムディ氏の代理人は、コメントを求めたBBCの取材に対して直ちに回答しなかった。 イスラエルによるガザでの戦争を公然と批判した人物のビザを、トランプ政権が取り消したのは今回が初めてではない。 今年3月には、コロンビア大学の卒業生で親パレスチナ派の活動家マフムード・ハリル氏が拘束され、国外退去を警告された。ハリル氏の事案は、学生活動家の一連の逮捕の中で最も注目されたケースとなった。 (英語記事 British journalist Sami Hamdi detained by US authorities)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする