「Halo」シリーズの主人公「マスターチーフ」に扮したドナルド・トランプ米大統領の姿を描いたAI生成画像が公開され、米国土安全保障省がSNSで「Halo」を使って米移民関税執行局の宣伝を行ったが、マイクロソフトはそれに対して何も行動を起こさないことにしているようだ。 先日、米国の大手ゲーム小売店GameStopの公式Xアカウントが「コンソール戦争の終結」を宣言したポストに対し、ホワイトハウスがAI生成画像を用いて反応。画像には、マスターチーフに扮したトランプ大統領が、星が40個しかない米国旗の前で敬礼している様子が描かれていた。 その直前には、北米で2001年(日本で2002年)に発売された『Halo: Combat Evolved』のキャンペーンモードを忠実に再現しつつ、現代風に再構築したリメイク版『Halo: Campaign Evolved』が、Xbox Series X|SとPCに加え、PS5で2026年に発売されることが発表されていた。同作はPlayStationコンソール向けに初めて発売される「Halo」シリーズ作品であり、マルチプラットフォーム展開を推進するマイクロソフトの姿勢を確かなものにしている。 その後、米政府は「Halo」をイメージしたAI画像をさらに作成し、国土安全保障省が移民関税執行局(ICE)のサイトを宣伝した。 これを受けて「Halo」ファンが激しく反応。Redditではサブレディットのポリシーが変更されることになった。モデレーターは通常、「政治やAI」に関するいかなる投稿も削除することになっているが、Xのポストについて議論したいと考えるユーザーが多いことから例外を設けたという。 しかし、マイクロソフトは今のところこの件について沈黙している。同社はIGNに対してまだコメントを発表していないが、担当者はPC Gamerに対し、「マイクロソフトはこの件についてお伝えすることは何もありません」と語っている。 これは、株式会社ポケモンの姿勢とは異なるものだ。同社は以前、国土安全保障省が、手錠をかけられ逮捕される人々を捉えた映像の中でアニメ『ポケットモンスター』の主人公「サトシ」やテーマ曲を使ったことに対し、正式にコメントを発表していた。 「国土安全保障省が投稿した動画に、当社のブランドに関連する画像や言葉が使用されていたことは認識しております」とThe Pokémon Company InternationalはIGN USに対して語っている。「当社はこのコンテンツの作成・配信には関与しておらず、当社の知的財産の使用許可も下しておりません」 問題は、トランプ大統領と米政府が宣伝に「Halo」を使用したことに対して、マイクロソフトが何らかの行動をとれるのかということだ。多くのファンは、株式会社ポケモンに知的財産の使用に関して法的措置を取るよう求めていた。だが、株式会社ポケモンの元法務責任者であるドン・マクゴーワンは当時、IGN USに対し、そのような措置が取られる可能性は極めて低いと考えていると述べ、その理由を挙げた。 「いくつかの理由から、彼らがこの件で何か行動を起こすとは思えません」とマクゴーワンはIGN USに語っている 。 「まず、The Pokémon Company Internationalの名前がメディアにほとんど出ないことを考えてみてください 。 彼らは表に出ることを極端なほどに避けるタイプで、ブランドそのものを前面に出すことを好みます」 「第二に、アメリカにいる幹部の多くはグリーンカード(米国永住権)で滞在しているんです」と彼は続けた 。 「仮に私がまだ会社にいたとしても、この件には手を出さなかったでしょう 。 私は、私の知る中で最も訴訟に積極的な最高法務責任者ですがね 。 この件は数日で収束し、彼らは黙って見過ごすでしょう」 トランプ政権は、以前にもAI生成画像を使って大統領の宣伝を行ったことがある 。 今年5月、トランプ大統領は、ローマ教皇に扮した自身の姿を描いたAI生成画像を投稿し、一部のカトリック教徒からの反発を招いた 。 ホワイトハウスの公式Xアカウントにて公開されたこの画像は、カトリック教徒がフランシスコ教皇の死を悲しみながら新教皇選出の準備を進める中で投稿された 。