熊本県小国町が発注した工事の入札に参加させた地元業者から、見返りに高額な飲食接待を受けたなどとして、県警は5日、元町建設課長で町職員、小野昌伸容疑者(60)=熊本県大津町=を収賄容疑で、小国町の建設業者「伊藤組」社長、伊藤英志容疑者(60)=同町=を贈賄容疑で逮捕した。工事には、2020年九州豪雨の災害復旧工事も含まれていたとみられる。県警は2人の認否を明らかにしていない。 小野容疑者の逮捕容疑は建設課長だった23年6月~24年12月、指名競争入札の参加業者に伊藤組を含む町建設業協会所属の9社を選んだ見返りに、県内などで29回にわたり計約52万円相当の飲食接待を受けたり、宿泊代を出してもらったりしたなどとしている。 関係者によると、小野容疑者は九州豪雨で被害を受けた町内のインフラ施設の復旧工事も担当。町内では町管理の41河川と町道72路線で、のり面や護岸が壊れるなどの被害があった。人的被害は無かった。 小野容疑者は逮捕前、毎日新聞の取材に「社長とは中学時代からの知り合い。災害時などの対応で地元の建設会社との付き合いもある。飲食の場でおごってもらうことはあったが、便宜は図っていない」などと潔白を主張。一方、「公務員の立場で良くなかったと今になっては思う。反省している」などと語った。 町は「町民の信頼を失墜させ、深くおわび申し上げる。事実関係を確認して厳正に対処する」としている。【野呂賢治】