〈マッコリ飲もう〉女性に睡眠薬入りの酒を飲ませわいせつ行為…裁判で明かされた元芸能Pの悪質手口

芸能活動をしていた女性に睡眠薬を飲ませ、わいせつな行為をしたとして準強制性交などの罪に問われている元芸能プロデューサー・鼻田拓(たくみ)こと細川拓被告(41=逮捕時)の公判が10月31日、東京地裁で開かれた。 細川被告は、20代から30代の複数の女性に睡眠薬を飲ませ、’25年1月までに3度逮捕された。今回は、’24年4月に起こした準強制性交などの罪に関する裁判だった。 逮捕時は大手レコード会社・ソニーグループの契約社員としてマネジメント業務に従事しており、お笑いコンビ『キングコング』の西野亮廣(45)のマネジャーもしていたことが判明している。それ以前は俳優の小栗旬(42)が社長を務める『トライストーン・エンタテイメント』の関連会社の役員まで務めたことがあるなど、芸能界に顔が広かった。 起訴状などによると細川被告は、知人の娘である女性に、芸能活動の相談に乗るなどと持ち掛け食事に誘い、その際に睡眠薬を飲ませ、昏睡状態にしてわいせつな行為を行った。 入廷した細川被告は、上下黒のスウェット姿でかなり大柄。無表情で黒縁メガネの奥の瞳に感情はなく、かなり威圧感を与える印象だった。 この日は別室からリモートで、被害女性の証人尋問が行われ、その卑劣な手口と女性の悲痛な思いが語られた。 女性と細川被告の接点は偶然だった。女性は当時、女優やモデルの活動を行い、芸能界で活躍することを夢見ていた。出会いのきっかけは、’23年末に女性の父親が参加した忘年会で細川被告と知り合ったことだった。娘が芸能活動をしていることを伝えると、細川被告が、 〈機会があったら話をしましょう〉(起訴状より。以下〈〉は起訴状による細川被告の発言) と約束。娘がチャンスをつかむきっかけとなればと思い、’24年3月下旬に、女性を交え3人で渋谷のカフェで会うことになった。その場で細川被告は、 〈お父さんがいたら話しづらいこともあるだろうから後日会おうね〉 と連絡先を交換。翌月に韓国料理店で、2人で食事をすることになった。女性は芸能活動に対する思いを伝え、細川被告は芸能界、芸能事務所の内情などを伝えたという。途中、細川被告から〈俺はタバコを吸うからトイレに行っておいで〉と勧められた。女性が席に戻ると細川被告が〈マッコリを飲もう〉と言い出し、細川被告から乾杯を求められながらマッコリを飲み続けた。 女性はこれまで記憶をなくすような酔い方をしたことがなく、アルコールに強い体質だという。しかし、この日は、 「息苦しさと頭痛があった。世界がグルグルして視界もはっきりしなかった」(女性の証言。以下「」は女性の証言) と体調が悪化。しかし、 「(細川被告が)会社(芸能事務所)の目上の方なので、しっかりしないといけないと思った」 という理由で中座することはできなかった。 再び、細川被告から〈トイレに行ってきな。俺タバコ吸ってくるから〉と言われた。女性はトイレに行くとすぐに、当時交際していた男性に「今日ヤバいかも。変かも」とLINEを送信し、体調の異変を伝えている。 そして酔いを醒ますために洗面台の蛇口から水道水を飲んだ。しかしトイレから戻ってからも体調は戻らず、その場で嘔吐。そのまま記憶は薄れていったという。 ◆『ヤバい、本当にヤバい』 店から出た記憶はなく、 「目を開けると暗い部屋で天井が見えた」 という。女性はベッドの上で仰向けになっていたが、 「気持ちが悪くて、ここがどこなのか考えることもできなかった」 と起き上がることすら難しい状態だった。 起き上がることさえできないまま、朦朧とする意識の中で顔にヒゲがあたる感覚と唇に生暖かい感触があった。女性はこう証言する。 「キスをされたのだと思う。ブラウスをまくり上げられ、ブラジャーを外された。下半身に痛みがあった」 女性が再び意識を取り戻したのはタクシーの中で、隣には細川被告が座っていた。自身の身に一体何が起きたのか分からなかったが、自宅に着くとすぐに、 「何かヤバいことが起きてると思って姉と当時の交際相手に『ヤバい、本当にヤバい』と連絡しました」 と回想した。 その後、救急車で病院に搬送され、尿検査の結果、睡眠薬成分が検出された。しかし、女性には病院で検査を受けた記憶はなく、 「次の記憶は警察署のイスに座っていた。(事情聴取では)ずっと机に顔をつけて、答えることができなかった」 という。女性は普段から睡眠薬などを服用しておらず、 「食事の席を立った時に飲み物に入れられたんじゃないかなと思う」 と、細川被告に疑いの目を向けた。女性は事件以降、 「外出することも怖くなり、食事することもできなくなって体重が減った。何もしたくなくなって、眠れなくなった。(事件が)フラッシュバックして普通の生活を送れなくなった」 と日常生活に支障をきたすようになり、心療内科でPTSDとの診断を受けたという。被告人に対する思いを問われると、 「睡眠薬を入れて、(自分の)したいようにするというのは許せない。それによって普通の生活はできなくなった。私の生活が変わってしまったことは許せない。しっかり罰を受けてほしい」 と強い処罰感情を露(あらわ)にした。 女性の証言の間、細川被告はずっと無表情のままで、女性の思いが届いたのか、その表情からは全くうかがうことはできなかった──。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする