国内最大級のスカウトグループ「ナチュラル」に捜査情報を漏らしたとして、警視庁は12日、同庁暴力団対策課の警部補、神保大輔容疑者(43)を地方公務員法違反(守秘義務違反)容疑で逮捕した。警察関係者への取材で分かった。 ナチュラルは、ホストクラブで借金を抱えた女性らを風俗店に違法にあっせんしており、「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」として警視庁が5年以上前から捜査し、メンバーを摘発してきた。神保容疑者は、捜査チームの一員で、警視庁は捜査の結果を踏まえて厳しく処分する方針。 ■容疑者が漏らした情報は 警察関係者によると、神保容疑者の逮捕容疑は今年4~5月の間に複数回、ナチュラル側に暴力団対策課の捜査状況を漏らしたというもの。同課が捜査用カメラで撮影したナチュラルの関係先の画像の内容を伝えた疑いがあるという。 警視庁は、全国の繁華街でナチュラルのメンバーが少なくとも約1500人活動しているとみている。メンバーはSNSや口コミで集められ、横のつながりは緩いという。 ■年商は44億円か 警視庁は、ナチュラルが女性を紹介した風俗店から受け取った紹介料などが、2022年だけで約44.5億円になるとみている。 警視庁は22年12月、ナチュラルの「壊滅」をめざして捜査チームを設置し、メンバーの摘発を進めてきた。チームの柱になる部署の一つが神保容疑者が所属する暴力団対策課だった。警視庁がナチュラルのメンバーを摘発する中で、逮捕直前に逃走した者もおり、神保容疑者との関係性などを調べる。 ナチュラルをめぐっては、大阪府警が7月、グループが拠点としていた大阪市西区のビルの一室を職業安定法違反容疑で家宅捜索した際、関係者の男性に暴行を加えたとして、府警の捜査員2人が特別公務員暴行陵虐容疑で8月に逮捕・起訴されている。(三井新、西岡矩毅)