「自傷する人は“かまってちゃん”だろうと思っていました」 世界で唯一の“リストカットの傷あと特化クリニック”を開いた形成外科医の村松英之さん(50)は、研修医時代にそんな「偏見」を抱えていたという。 しかしその考えは、開業後に180度変わった。今、日本全国から彼の元を訪れる女性患者たちの意外な姿とは。(全4本の1本目/ 2本目を読む ) ◆◆◆ ──村松さんのクリニックは「リストカットの傷あとに特化した形成外科」をうたっていますね。全国でも珍しいのでは。 村松 2017年に開業以来、1200人以上の自傷患者さんを診てきました。でも昔は、自傷する人への苦手意識があったんです。 僕が医者になったのは2000年ですが、最初は総合病院の研修医だったので、夜間は入院患者さんや救急外来に対応する当直勤務がありました。夜なので自傷の患者さんも多かったのですが、交通事故など他の理由で来院する人たちとは印象が違ったんですよね。