フランスの警察当局は、アルピーヌのヴィリー=シャティヨン拠点で発生した不可解な侵入事件について、産業スパイ行為の可能性も含めて捜査を進めている。 仏紙『ル・パリジャン』が最初に報じたところによると、この事件は11月10日(月)の夜10時ごろに発生。2人の正体不明の人物が、窓ガラスを破ってロビーに侵入したという。 フランスメディアが引用した警察関係者の話によれば、侵入者たちは建物に入った直後、上階の経営陣や幹部オフィスが並ぶエリアへと直行し、いくつかの内部ドアをこじ開けた後、わずか数分で建物を離れたという。 ただし、現時点で何も盗まれていないことが確認されている。 アルピーヌ関係者は『ル・パリジャン』に対し、「何も盗まれていません。すべて無事です。当時、社内には従業員もいませんでした」とコメントしている。 エヴリー地方検察庁はすでに捜査を開始しており、防犯カメラの映像や指紋の分析が行われているものの、現時点で逮捕者は出ていない。 『ル・パリジャン』は、「窃盗の線が除外された以上、産業スパイ行為を含むあらゆる可能性を調べている」と報じた。 また『レキップ』は、事件の発生場所とタイミングの“奇妙さ”にも言及。ヴィリー拠点はかつてルノーF1のPU(パワーユニット)開発の中心だったが、アルピーヌは2026年からメルセデス製エンジンを使用する方針に転換しており、すでに多くのエンジン部門スタッフはフェラーリなど他社へ移籍している。 一部報道によれば、侵入者たちは明確な目的地を把握していた様子で、経営陣のオフィスへ一直線に向かった後、側面の非常口から逃走したという。 アルピーヌは事件について「事実を確認した」とのみ声明を出しており、詳細なコメントは控えている。