14年前のひき逃げ遺棄事件 遺族らが情報提供呼びかけ 松阪・三重

三重県松阪市飯南町の山林で2012年3月、神戸市垂水区の鉄筋工、一瀬敦さん(当時32歳)が遺体で発見された未解決事件で、一瀬さんの兄弟3人と松阪署、県警交通指導課の警察官計15人が20日、近鉄伊勢中川駅や付近の商業施設で情報提供を呼び掛けた。 松阪署によると、一瀬さんは11年11月20日夜、仕事のため自宅を出て近鉄伊勢中川駅に到着。会社の寮に向かう途中で車にはねられ、山林に遺棄されたとみられている。 事件の翌年から毎年この時期、情報提供を呼び掛けるため、長兄信臣(のぶたか)さん(51)、次兄稔さん(48)、弟剛史さん(38)が街頭に立っている。この日配布したチラシは600枚。3人は「情報提供に協力してください。ささいなことでもかまいません」と通行人に訴えていた。 取材に「事件を風化させないことが大事。弟がどのように亡くなったか真実を知りたい」と信臣さん。1999年に起きた名古屋市の主婦殺害事件の容疑者が逮捕されたこともあり、稔さんは「名古屋の事件は励みになった。やり続けることに意味があると思う」と語った。 県警はこれまでに延べ約5万3000人の捜査員を投入。当初は時効が10年の自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で捜査していたが、けがをした状態で放置して死なせた可能性があるとみて保護責任者遺棄致死容疑に切り替え、捜査を続けている。 20日までに寄せられた情報は54件。今年は1件しかなく、容疑者の特定につながっていない。ささいな情報と思っても、まずは松阪署(0598・53・0110)へ。【長谷山寧音】

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