（森）テレビ派6時台は広島のニュースをお伝えします。北広島町で男性が殺害された事件から12月8日で25年です。 （井上）現場からは被害者とは別のDNA型が見つかっていたことが分かりました。専門家などの話から、事件解決の糸口を取材しました。 【VTR】 ■警察官 「どんなささいなことでもいいので、また情報がありましたらよろしくお願いします。」 北広島町の商業施設では12月8日、警察が情報提供を呼びかけ、チラシを配りました。事件は未解決のまま、発生から25年を迎えました。2000年12月8日、北広島町大朝の特別養護老人ホーム「やすらぎ」の施設長だった郷田和昭さん・当時49歳が何者かに殺害されました。郷田さんは胸や腹など60数か所を刺されていました。 警察に通報したのは、第一発見者の森川さんです。 ■第一発見者・森川定夫さん 「死体はそこらよ。牧草があった時にはこのくらいの溝を掘っていて、そこに（遺体が）入っていた。真っ赤で血だらけで、カッターシャツが。交通事故だと思ったからね、最初は。脱輪している車を見て、あれがはねてここへ（遺体を）置いて逃げたんだと思った。」 現場近くで見つかった車は、郷田さんのものでした。車内には争った形跡があり、携帯電話が持ち去られていました。車が見つかったのは遺体の発見場所からおよそ100メートル離れた場所。 森川さんは車内の様子も見たといいます。 ■第一発見者・森川定夫さん 「中見たら血がシートにパラパラと落ちて、ハンドルに血がついていたのでは。はやく捕まればいいんだけど、難しいだろうね。」 当時目撃されていたのは、郷田さんと話す作業着姿の2人の男。県警は似顔絵を公開し、行方を追ってきました。25年がたった今も、遺族は事件解決を願っています。 「悲惨な事件が発生して、25年の年月が経ちましたが、故人のことを忘れることはありません。一日も早い犯人の逮捕を望んでおります。」 捜査本部がある山県署です。現在も7人体制で捜査にあたっています。 ■山県警察署 小田豊署長 「25年の中でもいろんな方が携わってきて、いろんな新しい見方で見てやってきているけれども、いまだに犯人には行き着いていない。農村地帯で直接の目撃が少なく証拠があまりない。」 県警によると、県内の未解決事件は合わせて8件。2000年前後に発生した事件が多く、捜査員が分散したことで、犯人検挙にいたる証拠を十分に集められなかった可能性もあると言います。 一方で、動きがあった事件も。2001年、福山市で主婦を殺害したとして、事件から20年後の2021年に男が逮捕されました。現場に残っていた血痕と、別の事件で捜査中だった男のDNA型が一致。懲役15年の判決が確定しました。 そして、ことし10月には、26年間未解決だった愛知県名古屋市で起きた主婦殺害事件で、女が逮捕されました。この事件でも現場に残された血痕と、容疑者のDNA型が一致しました。 25年が経過した北広島町の事件では、殺害現場から、郷田さんとは別の人物のDNA型が検出されていたことが新たに分かりました。 事件解決の糸口となりうるDNA。現場に残されたDNA型と、別の事件で検挙された人物のDNA型を照合する地道な捜査が必要だと専門家は指摘します。 ■神奈川歯科大学 歯学部 山田良広 教授 「いかにそれにマッチングする人を探すことが できるかに尽きる。データベースに対して新しい被疑者が出た、候補者が出た場合に、それにマッチングさせて合うか合わないかを、もちろんこちらの事件でも同じことを繰り返しやってると思うんですけど、なかなかそれにマッチする人が出てこないというだけだと思うんですね。」 山県署には先月、新たな似顔絵が掲示されました。容疑者の25年後の姿を予想して作られたものです。22025年に入って1件だった情報提供は、似顔絵の公開以降6件増え、きのうまでに合わせて7件が寄せられているといいます。警察はこれまで積み重ねてきた捜査によって、1日も早い犯人検挙を目指します。 ■山県警察署 小田豊署長 「名古屋の分を受けて、漏れているところがないかというのは、また新たな目で見ていくことですよね。一刻でも早く犯人を捕まえたいという思いですね。」 被害者と遺族の無念をはらすため捜査は続きます。 2025年12月8日放送