みなさんは、“差入屋”という職業をご存知ですか? 刑務所や拘置所に収容された人たちに家族や関係者に変わって“差入れ”を代行する、実際に存在するお仕事だそう。と聞いても即座にピンと来る人も少ないでしょうが、だからこそ映画『金子差入店』の主人公の日常に、興味を禁じ得ません。 「そんなことが!」「そうだったのか……」と、驚きや目を見開かされる計り知れないドラマが繰り広げられているのでした。その差入屋さんを演じた丸山隆平さんに、どのように役に入って行ったのか、現場でどんなことを感じたのかなど、色々とお聞きしました。 ●丸山 隆平 1983年、京都府出身。SUPER EIGHTのメンバー。2004年、シングル「浪花いろは節」でCDデビュー。歌手、ベーシスト、俳優として活躍。『ギルバート・グレイプ』(11)で舞台初主演。『ワイルド7』(11)で映画初出演。『泥棒役者』(17)で映画単独初主演。近年の主な出演作に、ドラマ『着飾る恋には理由があって』(21)、ブロードウェイミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(22)、時代劇舞台『浪人街』(25)など。 ──本作で演じた金子真司について、「こういう役を演じたかった」と資料で語っていますが、どんな点に惹かれたのですか? 自分にとって身近でないどころか、“差入屋”という職業自体、全く知りませんでした。けれど、脚本がその仕事を通して、家族や身近な人間、または社会に対して色んなことを幅広く感じさせるものだったので、作品に参加することに大きな意味を感じたんです。ただ同時に、自分自身に向き合わなければいけない作品になるな、と感じました。ちゃんと携わる責任を負わなければならない、相当なエネルギーを必要とする作品になるだろうな、という覚悟を要しました。