公務員の立場にありながら「探偵」を兼業し、市民の個人情報を顧客に漏らしていた――。愛知県豊田市の元職員の男(43)が地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕された事件で、元職員が「市の給料では満足できなかった」などと供述していることが捜査関係者への取材でわかった。 同僚にも金銭をちらつかせて、情報照会を持ちかけていたことも判明。警察への取材で「探偵公務員」の実相が見えてきた。 12月3日夜、豊田市役所で開かれた緊急会見。謝罪した市幹部は、元職員が当時、全ての市民の住民基本台帳データにアクセスできる権限があったことを明らかにした。「アクセス権限を厳格に絞りこむことも考えているが、機能するかは課題」と、対策の難しさを口にした。 ■捜査員も認めた「熱心な張り込み」 逮捕されたのは、同市の探偵業の男。県警によると、2007年に市に採用され、今年3月に自己都合で退職した。 同市教育委員会保健給食課主査だった23年12月5日ごろ、市役所の端末を操作して入手した市民1人の氏名や転入前の住所、転入の日付を顧客に漏らした疑いがある。容疑を認めているという。