名古屋駅前の3人死傷事故 71歳の男、初公判で起訴内容を認める

名古屋駅前の交差点で10月、男女3人が軽乗用車にはねられ死傷した事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた無職鳴海洋被告(71)=名古屋市北区=の初公判が23日、名古屋地裁であり、鳴海被告は起訴内容を認めた。弁護人は「認知症の疑いがある」として、責任能力について争う姿勢を示した。 検察側は冒頭陳述で、現場手前にブレーキ痕はなく、車のブレーキは正常に作動する状態だったと指摘した。被告は事故の約2年前、勤務先のタクシー会社を辞め、その後、週5日ほどドライブするようになった。事故前日の夜、「暇つぶし」として運転を始めたという。 検察側が証拠調べで読み上げた供述調書によると、被告は「ブレーキがきかず、車を止めようとしてサイドブレーキをひいた」などと供述していたという。 弁護側は、事故直後の被告の供述と現在の記憶に相違があり、認知症の疑いがあると主張し、精神鑑定を地裁に求めた。蛯原意裁判官は鑑定の要否を判断するため、被告人質問を来年1月30日の次回の公判で行うことを決めた。 起訴状などによると、鳴海被告は10月15日午前7時40分ごろ、名古屋市中村区名駅南1丁目で、名鉄バスセンターから出る左カーブの下り坂を時速72~76キロで走行。中央分離帯に衝突し、対向車線にはみ出させて、交差点に進入し、横断歩道を歩いていた稲沢市の田中幸子さん(当時49)を死亡させたほか、男女2人に骨折などの大けがを負わせたとされる。 鳴海被告は同法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕され、危険運転致死傷容疑で送検された。名古屋地検は、同法違反(過失運転致死傷)罪に切り替えて起訴した。(鎌形祐花、野口駿)

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