三重県内で今年、29日までに発生した交通人身事故は2527件で、過去10年で最小だった令和3年の2722件を下回るペースとなっている。一方、交通事故による死者数は59人で、過去最小となった昨年よりも13人多い。特に飲酒運転や逆走、暴走、ひき逃げなど、車が絡む“事件”が相次いだ。 5月18日午前11時ごろ、亀山市安坂山町の新名神高速道路でペルー国籍の男(35)=自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の罪などで実刑判決=が運転する乗用車が逆走。逆走車を避けようとした車4台が絡む玉突き事故が起き、1人が脊髄損傷を負うなど6人がけがをした。 判決で裁判官は「重大な交通の危険を生じさせる可能性が非常に高い」と指摘。他県でも外国人の悪質な運転による事件があり、外国の運転免許を日本の免許に切り替える「外国免許切替」制度の試験の難易度についても批判の声が上がった。 8月には県内で2日連続で死亡ひき逃げ事件が発生。14日午前5時ごろ、津市の県道交差点を自転車で渡っていた男性=当時(69)=が信号無視をした軽乗用車にはねられて死亡した。軽乗用車は時速約95キロで交差点に進入して男性をはね、運転する男(47)=鈴鹿市小田町=はそのまま逃走した。 翌15日未明には、四日市市の市道交差点で、時速約85キロで逆走する乗用車が軽ワゴン車に衝突。軽ワゴン車の男性=当時(58)=が死亡し、乗用車を飲酒運転していた自動車整備業の男(41)=同市曙二丁目=は車を置いて逃走した。 2人はそれぞれ事件の当日夜までに逮捕され、危険運転致死罪などで起訴された。 飲酒が絡んだ危険な運転で若者が亡くなる事件もあった。8月18日午前3時ごろ、松阪市小黒田町の市道で市内に住む男(19)が運転する乗用車が民家に衝突。同乗していた名古屋市の女子大学生=当時(19)=が死亡、1人が重傷を負った。 乗用車は直線道路で速度を出しすぎたことで制御困難になり、道路脇の民家に突っ込んだ。男は9月に危険運転致死傷と道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕され、任意での捜査が続いている。 10月3日未明には名張市上小波田の国道165号で、6人が乗った軽乗用車がカーブを曲がりきれずに横転。16―23歳の男女5人が死亡した。車は天井が剥がれるなど、交通捜査に長年の経験がある警察官も「見たことがない」ほどの損傷だった。 県警は12月、制限速度を大きく超える速度で運転したなどとして、死亡した会社員の男=当時(20)=を危険運転致死傷や酒気帯び運転などの疑いで書類送検。男に運転を依頼したとして、死亡した建設業の男=当時(23)=も飲酒運転同乗の疑いで書類送検した。 県警の担当者は「車は便利な乗り物だが、危険と隣り合わせ。一度の過ちで自分や周りの人の命を奪うことになる。緊張感を持って運転してほしい」と注意を呼びかける。