米各地で移民当局への抗議続く、連邦政府はミネアポリスへ増派の方針 当局による女性射殺めぐり

米ミネソタ州ミネアポリスで移民税関捜査局(ICE)職員がアメリカ人女性を射殺した事件を受け、アメリカ各地で抗議デモが続いている。ミネアポリスの警察によると、市内では週末にも数万人がICEの事件に抗議して行進し、数十人が逮捕された。ICEを所管する国土安全保障省(DHS)のクリスティ・ノーム長官は11日、ミネアポリスへ「数百人」を増派する方針を明らかにした。 ルネー・ニコール・グッドさん(37)が7日にICE職員に射殺された現場には、大勢が花束や哀悼のメッセージ、ろうそくなどを供えている。厳しい寒さの中、10日にも次々と人が訪れた。 週末にかけて、ミネソタ州内のほか、ニューヨーク、ロサンゼルス、テキサス州オースティン、ワシントン州シアトルなどアメリカ各地で、ICEを非難するデモが行われた。 市当局によると、週末をかけて続いた抗議で30人が逮捕されたほか、警官1人が「氷のかたまりを投げつけられた」ことで軽傷を負ったという。 ノーム国土安全保障長官は11日朝、米FOXニュースの番組で「ミネアポリスで活動するICEと国境警備当局の職員が、安全に活動できるよう」、11日と12日にもさらに「数百人」を増派すると述べた。 長官は、移民当局への妨害は容認しないと述べ、住民が「もし法執行官たちに暴力的な行動を行うなら、我々の作戦行動を妨害するなら、それは犯罪であって、その者たちには責任をとらせる」と警告した。 トランプ政権は、発砲した職員は正当防衛で行動したと主張している。地元当局は、グッドさんはICE職員に危害を加えようとしていなかったとしている。 ■市内の抗議に数万人と警察発表 ミネアポリス警察は、10日に市内の公園で行われた「ICEはミネソタから出ていけ」集会とその後の行進には「数万人」が参加したと推定した。 ミネアポリス警察は9日夜、一部のICE職員が滞在しているとされる市内のホテル前に集まった抗議者たちに対して、集会は違法だと告げた。警察によると、この現場には「数百人」が集まり、「一部の者が路地側の入り口からホテルに侵入した」という。 オンラインに投稿された映像には、抗議者が明るいライトを照らし、ホイッスルを吹き、太鼓を叩く様子が映っていた。 警察によると、一部は警官や警察車両、その他の車両に氷、雪、岩を投げつけたが、深刻な負傷は報告されていない。 BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、1人の当局職員が軽傷を負ったが、医療の手当ては必要としなかった。 当局によると、市内の別のホテルも標的にされ、窓が壊され、落書きもされたという。 フレイ市長は10日午前の記者会見で、大多数の抗議参加者は平和的に行動したとたたえた一方、資産を損壊したり、他者を危険にさらしたりした個人は逮捕されると述べた。 ミネアポリス警察のブライアン・オハラ本部長は、9日夜に逮捕された人たちは後に釈放されたと明らかにした。 ミネソタ州では多くの住民が州内にいるICEについて、不満を抱えている。オハラ本部長は、ICEの活動について毎日数十件の苦情電話がかかってくると話した。 ■対立する主張で分断浮き彫りに ICE職員が白昼にルネー・グッドさんを射殺した事件は、アメリカの政治的分断を浮き彫りにする事態となっている。トランプ政権側の言い分と、ミネソタ州当局と住民たちの主張が対立し、お互いに相手が扇動的な物言いをしていると非難し合っている。 ノーム国土安全保障長官は11日、グッドさんが「国内テロ行為」を行っていたという主張を改めて強調。長官はCNNに対し、グッドさんがICE職員を攻撃するために「車を武器化した」のだと繰り返した。 その数分後に同じCNNに出演したフレイ市長は、「誰が見ても、この被害者が国内テロリストでないことは明らかだ」と述べ、グッドさんはICE職員のいる現場を離れようと、車を3回切り返して方向を転換しようとしていたのだと説明した。 市長はさらに、地元の捜査当局の人数は「ICE職員の人数に比べ圧倒的に少ない」とも話した。 ミネソタ州選出のティナ・スミス連邦上院議員(野党・民主党)は11日、トランプ政権がグッドさん射殺事件の真相を隠ぺいしようとしていると非難した。 スミス議員は米ABCニュースに対して、「連邦政府、クリスティ・ノーム、ヴァンス副大統領、ドナルド・トランプが、ここで何が起きたかを隠そうとしている。そういう状態なのだと思う」と話した。 「彼らの言うことを、ここの人たちも国中の人たちも、信じていないと思う」とも、スミス議員は述べた。 これに対してホワイトハウスのアビゲイル・ジャクソン報道官は、スミス議員がうそをついていると非難。「ティナのうそは、ただ緊張をさらにあおり、法執行官への暴力を扇動するだけだ」とした。 10日には、ミネソタ州選出の連邦下院議員3人が、ミネアポリスにあるICE施設を視察しようとした。イルハン・オマル、ケリー・モリソン、アンジー・クレイグの下院議員3人(いずれも民主党)は最初は入場を許可されたものの、後に退去を求められたと明らかにした。 議員たちは、連邦当局の活動を監視するという連邦議会議員の責務を、ICEとDHSが妨害していると批判した。 クレイグ議員は、「(ICEとDHSは)自分たちが連邦法に違反しても、気にしていない」と述べた。 オマル議員は10日にソーシャルメディア「X」で、「市民はICE施設で何が起きているのか、知る権利がある」と投稿した。 グッドさんが射殺された翌日の1月8日付でDHSが示した方針では、連邦議会議員がICE施設を訪問するには7日前からの通知を必要とするとしている。CBSニュースによると、DHSはこの方針を10日に連邦裁判所に提出した。 グッドさんは7日、車を運転する最中にICE職員によって射殺された。 現場の映像には、ICE職員が道路中央に停止している車に近づき、ハンドルを握る女性にSUVから降りるよう指示する様子が映っている。 職員の1人が運転席側のドアハンドルを引っ張っている。 車が走り去ろうとすると、車の前にいた職員が運転手に向けて銃を向けた。複数の銃声が記録されている。 車は警官から離れる方向へ少し進んだ後、道路脇に衝突する。 グッドさんの妻は地元メディアに対し、2人は近隣住民を支援するために移民取り締まりの現場に向かったのだと話した。 グッドさんに発砲したICEのベテラン職員、ジョナサン・ロス捜査員は、過去に車に衝突され職務中に負傷したことがある。元インディアナ州兵で、2004年からイラクへ1年間派兵された経験もある。 この事件の捜査は、連邦捜査局(FBI)が担当している。ミネソタ州当局は9日、FBIによって捜査から排除されたと明らかにし、銃撃について独自に捜査を開始すると発表した。 この発表の前日には、ミネソタ州の犯罪捜査局(BCA)が、当初はFBIが共同捜査を約束したにもかかわらず、方針を変更したと発表していた。 J・D・ヴァンス米副大統領は、この捜査は連邦政府の管轄だと発言している。 (英語記事 More federal agents to be sent to Minnesota, Trump administration says / Thousands march and dozens arrested in Minneapolis protests against ICE)

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