勤務先の営業秘密を在日ロシア通商代表部元職員に漏らしたとして、警視庁公安部が20日、首都圏の工作機械メーカー元社員の30代の男を不正競争防止法違反容疑で東京地検に書類送検した。元職員はロシアのスパイだと公安部はみている。 警察当局は過去にも、日本国内の企業の情報が海外などに漏洩(ろうえい)する事件を摘発してきた。適用された法律はいずれも「営業秘密」の「使用」や「開示」を禁じる不正競争防止法だった。 2019年2月、超硬工具メーカー「富士精工」(愛知県)の製品情報をコピーしたとして、愛知県警が中国籍の社員を逮捕した。 19年6月には、電子部品メーカー「NISSHA」(京都市)からスマートフォンなどに使うタッチセンサーの技術情報を持ち出したとして、京都府警が元社員を逮捕した。元社員は、競合する中国企業に転職していたという。 ■スマホのタッチパネル、先端技術、通信関連情報 20年10月には、積水化学工業(大阪市)からスマホのタッチパネルに使われる技術情報を中国の通信機器部品メーカー関係者に漏らしたとして、大阪府警が社員を書類送検している。 23年6月には、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(茨城県など)から先端技術を中国企業に漏らしたとして、警視庁は中国籍の研究員を逮捕した。 今回と同じ、在日ロシア通商代表部が関係する事件も起きている。 ソフトバンク(東京都)の通信関連情報を不正に入手したとされる事件では、警視庁が20年1月に元社員を逮捕した。20年5月には在日ロシア通商代表部の元代表代理を書類送検した。 その後、不起訴になった。元代表代理は当時すでに出国しており、東京地検は「再入国の見込みがないことなどを総合的に考慮した」と説明していた。(松田果穂)