トランプ米政権が進める不法移民対策で、特に強硬な取り締まりが行われてきたのが中西部ミネソタ州だ。 昨年12月以降、3000人規模の移民捜査官が派遣された。同州で非正規に滞在する移民は人口の約1・5%で、その割合は全米平均の半分に満たない。それでもトランプ政権が標的とする背景について、地元では「政治的報復」との見方が広がる。 ミネソタは伝統的に民主党の牙城で、ウォルズ州知事は2024年大統領選で民主党の副大統領候補だった。 「トランプ大統領は、私たちの生活の質や、人種を超えた結束を乱すあらゆる手段を意図的に講じていると感じる」。地元の公民権弁護士、ネキマ・レビー・アームストロングさん(49)は指摘する。 アームストロングさんは、州都セントポール市の教会で行われた反ICE(移民・税関捜査局)の抗議活動に関連して逮捕された。ホワイトハウスは、アームストロングさんの肌の色を実際より暗く加工し、泣いて取り乱しているような生成AI(人工知能)画像をX(ツイッター)に投稿し、「極左の扇動者」と呼んだ。「抑圧や不正義に声を上げる人々に対して、萎縮効果をもたらす目的だ」とアームストロングさんは訴える。 リベラル層以外も強硬策には違和感を抱く。ミネアポリスでトランプ氏を長く支持してきたという会社員の60代男性は「犯罪者の移民の排除には多くの人々が賛成するはずだ」と擁護しつつ、地域に「混乱」をもたらしている作戦にはもろ手を挙げて賛成はできないと話した。 ミネアポリスでは強硬な摘発への抗議デモが広がり、その中で市民2人が捜査官に射殺された。トランプ政権は「やり過ぎ」との批判を受け、12日、投入した捜査官を順次撤収させると発表した。【ミネソタ州ミネアポリスで八田浩輔】