大津市で2024年5月、自分を担当していた保護司の男性を殺害したなどとして、殺人と公務執行妨害、銃刀法違反の罪に問われている無職の飯塚紘平被告(36)に対する裁判員裁判の初公判が17日午前、大津地裁(谷口真紀裁判長)で始まった。被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。 一方、弁護人は事実関係に争いはないとしたうえで、「行動制御能力が低下していた」と述べた。 被告は事件当時、執行猶予判決を受けて保護観察中で、レストラン経営の新庄博志さん(当時60)=大津市=が立ち直りを支援していた。起訴状によると、被告は24年5月24日午後7時前後、面接のために訪れた新庄さん宅で、ナイフとおので複数回切りつけるなどして殺害したとされる。 被告は滋賀県警に逮捕された際、「私はやっていないし、何も答えたくありません」と容疑を否認していた。 大津地検は当時の精神状態を調べるため、被告の鑑定留置を実施。刑事責任が問えると判断し、同年11月に起訴した。 保護司は無給の非常勤国家公務員で、法務省職員の保護観察官と協力して保護観察対象者の生活指導や就労支援を行う。法務省は事件後、保護観察のありかたや保護司の安全対策を見直した。 保護観察付き執行猶予判決を受けた対象者については、保護観察官の面接を手厚くして、特性などを十分把握することにした。その上で、ケースによっては複数の保護司が1人の対象者を受け持ったり、保護観察官が直接担当したりするなどの措置をとる。保護司の自宅以外で、面接できる場所の確保も進めている。 新庄さんの保護司仲間も裁判の行方を見守る。 滋賀県彦根市の保護司平田敦之さん(63)は、新庄さんと互いに情報を交換したり悩みを相談したりする間柄だった。新庄さんが帰らぬ人となり、「こんなにも、つらいのかと……。身内を殺されたような思いだった」と当時を振り返る。 裁判での被告の言葉に注目している。保護司の活動に情熱をもって取り組んでいた新庄さんの姿を知っているからこそ、「『保護観察がつらかった』『言葉に腹が立った』……そういう理由ではないことを祈る」と裁判前に話した。(真常法彦、新谷千布美、佐藤道隆)