マンガの実写化では、独特なビジュアルや現実味のない設定のキャラを再現するために、特殊メイクがたびたび使われています。なかにはキャストが別人レベルに変化し、キャラを完全に再現した作品もありました。 ●『夏目アラタの結婚』(原作:乃木坂太郎) 元ヤンの児童相談員が、死刑囚に結婚を申し出る異色の獄中サスペンス『夏目アラタの結婚』では、黒島結菜さんが連続殺人鬼「品川真珠」を演じました。逮捕時の太ったピエロのような風貌や笑った際にのぞく空きっ歯で「品川ピエロ」と恐れられた姿も、特殊メイクを施した黒島さんが再現しています。 顔や体形、ピエロメイクのデザインなどの制作には約2か月が要されました。特殊メイクには毎回3時間かけ、本来の黒島さんとは別人級のピエロの姿が完成しています。また獄中の真珠は痩せており、黒島さん本来のビジュアルに近い華奢で儚げな女性として描かれていますが、笑ったときにのぞく空きっ歯が不気味さをいっそう引き立てていました。最大の特徴ともいえるその空きっ歯は、5か月かけて制作された特注のマウスピースを使用したものだそうです。 徹底した役作りによって、「清純なイメージがまったく感じられず、別人のようで驚いた」「歯を汚しているのに、猟奇的かつちゃんと美しく見えるのが不思議」といった声もあがるほど、強烈な存在感を放つ真珠が見事に再現されています。 ●『キングダム』(原作:原泰久) 古代中国の春秋戦国時代が舞台の『キングダム』では、実写版の映画シリーズ第1作に秦王「エイ政(演:吉沢亮)」の命を狙う暗殺者「朱凶」が登場しました。独特な顔立ちと不穏な雰囲気を漂わせる朱凶を演じたのは、特殊メイクを施した深水元基さんです。特徴的な鼻筋まで再現したビジュアルに、視聴者からは「別人級」「本人のイケメン感消えた」などと絶賛されました。表情の読み取りにくさも相まって、現実離れした朱凶の不気味な佇まいを再現しています。 また、王宮を守る大猿のような怪物「ランカイ」は、原作に忠実な巨体と風貌で登場しファンを驚かせました。ランカイを演じた2m越えの俳優・阿見201さんは、特殊メイクに加え、特殊脚部装具やマッスルスーツを用いて、約290cmにおよぶ巨体を作り上げたそうです。 人工皮膚は撮影のたびに使い捨てにするなど徹底したこだわりによって生み出された実写版ランカイは、「普通に見ていて恐ろしい」「CGを使っていないことに驚いた」と、高く評価されました。 ●『ゴールデンカムイ』(原作:野田サトル) 明治時代の北海道を舞台に金塊争奪戦が繰り広げられるマンガ『ゴールデンカムイ』の実写化シリーズには、特徴的なビジュアルのキャラが数多く登場します。なかでも、玉木宏さんが演じる陸軍第七師団の中尉「鶴見篤四郎」は、日露戦争で負った目周りの傷跡に加え、大きな額当てを身に着けた強烈なビジュアルが印象的です。制作陣は、リアリティーのある傷を表現するため、やけどや切り傷を治癒した後の状態にこだわってメイクを施しています。 また、勝矢さんが演じる柔道家の大男「牛山辰馬」は、額にある四角いコブが特徴的なキャラです。このコブはシリコンゴムで、勝矢さんの額の広さに合わせて制作され、眉毛の上から覆うように装着することで肌になじむ特殊メイクが使用されました。さらに、柔道の達人らしい「ぎょうざ耳」の造形も、勝矢さんの耳型を取ったうえで作られています。 細部に至るまでこだわり抜いたメイクは、原作ファンも「あんな人間として無理のある額のデザインなのに、実写でも自然で不思議だった」「牛山さんの耳がちゃんと餃子耳で、地味に感動した」といった声があがりました。これからも続くシリーズでも、特殊なビジュアルのキャラの再現に期待が高まります。