(CNN) オーストラリア南西部の都市パースの海岸から見渡せば、水平線から青い丘がそびえているのが見える。丘は日によって手が届きそうなほど近くに見えたり、霧や通り過ぎる船の陰に隠れて見えなかったりする。 「人目につきたがっている時もあれば、影に隠れたがっている時もある」と語るのは、豪マードック大学の講師、グレン・スタシウク氏だ。同氏はこの島を扱った2014年のドキュメンタリー「Wadjemup: Black Prison — White Playground」のディレクターを務めた。Wadjemup(ワジャマップ)は島の呼び名で、「黒人(先住民)の牢獄、白人の遊び場」という意味のタイトルだ。「島は独立した存在。鼓動を刻んでいる」と、スタシウク氏は言う。 現地の先住民ヌーンガー族の間で「ワジャマップ」と呼ばれるロットネスト島は、パース近郊の港町、フリーマントルから19キロ沖合に浮かぶ島だ。白砂のビーチと透明な海、笑ったような顔の有袋類「クオッカ」とのふれあいを求めて、年間80万人以上の観光客が訪れる。自撮り写真に笑顔で収まるクオッカは、インスタグラムの人気者だ。 西オーストラリア大学の名誉教授でヌーンガー族長老のレン・コラード氏によれば、ワジャマップの伝統的な保護管理者たちにとって、島は聖地だ。「ヌーンガー族の言い伝えでは、人が死ぬと魂は体を離れて西方の島々へ、霊のありかへと渡る」 「ワジャマップはずっと魂の宿る場所だった」と、コラード氏は説明する。「だが植民地時代を経て、さらに神聖な場所となった。ここでは多くの先住民が収監中に亡くなり、その人数はオーストラリア国内で最大に達した」