社説:SNSいじめ 投稿拡散の危険、教育

交流サイト(SNS)を使った児童・生徒間のいじめや暴力行為の動画拡散が、各地で問題となっている。 京都府では、私立小児童6人がLINEグループで別の児童への誹謗(ひぼう)中傷などを投稿していた。別の小中高一貫校ではSNSを使ったいじめを受けた女子生徒が内部進学を断念。草津市立小でも嫌がらせで長期欠席につながった。 SNSは交流ツールである半面、グループ内のトラブルは顕在化しにくい。過激な投稿が連鎖してエスカレートし、いじめに発展する実態は見過ごせない。 文部科学省によると2024年度、全国で認知されたいじめは76万9千件、暴力行為は12万9千件に上った。いじめの内容では「パソコンや携帯電話等で誹謗・中傷や嫌なことをされる」が2万7千件で、いずれも過去最多に上る。 子どもたちへの情報モラル教育が肝要だ。相手も自分も傷つけ、安易な拡散で深刻化する危険性について、学校や家庭で手を尽くして伝えねばならない。 栃木県立高では、トイレで男子生徒が別の生徒に一方的に殴られたり蹴られたりする映像がSNS上で広がったのをはじめ、大分や熊本などでも生徒間暴力の動画が拡散された。 教育委員会が、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定し、加害生徒が家裁送致や逮捕されたケースもある。 SNSでの発信は、加害者周辺が面白半分や閲覧数を集める動機などがうかがえ、行為がエスカレートしている可能性もある。 一方、第三者が暴力を問題視して外部に伝える狙いの投稿もある。警察などの介入を促す一方、加害者と被害者の双方が写ったまま個人情報がさらされ、「ネット私刑」と呼ばれる問題も伴う。虚偽情報も混じりかねない。 いじめや暴力は断じて許されない。同じようにネットを使った私的制裁にも、人権侵害のリスクがあるとの認識を徹底したい。 外部拡散の背景に、いじめ問題に対し、学校や行政の対応が遅いという不信感も指摘される。 大津市で起きたいじめ自殺を教訓に、13年に施行されたいじめ対策推進法は、学校ごとに防止に向けた方針や対策組織の設置を義務付けた。だが、被害者側の訴えを軽視したり、隠ぺいしたりする学校や教委の対応も絶えない。 子どもらが相談しやすく、迅速な解決へ動ける体制となっているのか、改めて点検すべきだ。

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