札幌のタイヤ脱輪事故、被害女児の家族が提訴 3億円超賠償求め

札幌市西区で2023年、走行中の改造車から車輪が外れ当時4歳の女児に直撃した事故で、女児と家族は30日、車の運転者や所有者らを相手取り、3億円以上の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した。原告側は運転者ら2人に治療費など必要な費用の支払いを求めてきたが、十分な対応はされず、訴訟に踏み切った。 女児の父親は同日、札幌市内で記者会見に臨み、「運転者と所有者の2人からはわずかな補償しかなく、お願いする立場では状況は改善しないと判断した。事故とちゃんと向き合ってほしい」と提訴の背景を明かした。 さらに「被害者が動き出さないと賠償などがされず、(経済的不安などの)解消に向かっていかない」とも語り、心身にダメージを受けた被害者が、その後の補償を巡っても負担を強いられる現状を訴えた。 訴状などによると、事故は23年11月14日に発生。前輪の異常を訴える車の所有者の男性(52)から点検を依頼された若本豊嗣被告(52)=別の道交法違反で起訴=が、左前輪が適切に固定されていないのに運転し、脱輪させて歩道を歩いていた女児に衝突させた。 若本被告は道路運送車両法違反(不正改造)と自動車運転処罰法違反(過失致傷)で懲役3年、執行猶予5年を言い渡され、今年2月に別の無免許運転の容疑で逮捕された。所有者の男性は道路運送車両法違反で有罪判決を受けた。 女児は事故で回復見込みのない頸髄(けいずい)損傷を負い、意識が戻らずに今も入院している。家族には治療費のほか、介護費など将来的な経済的負担も見込まれる。 原告側は自賠責保険などで一部の支払いを受けているものの、運転者ら2人による補償は十分ではないという。事故車自体に任意保険がないために補償が受けられていないが、今回はその補塡(ほてん)も求め、事故当時の若本容疑者の妻がかけていた任意保険会社も相手取った。 この任意保険には、他人の車での事故も補償する「他車運転特約」が付帯し、配偶者である若本被告も適用対象になるためだ。ただ、特約適用には免責の条件があり、争点となる見通し。 女児の父は「誠意ある対応がされることを信じてきたが、状況は変わらなかった。これ以上続くのは受け入れられない」と失望感をあらわにした。【谷口拓未】

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