栃木県上三川町の住宅で14日午前、この家に住む女性(69)が何者かに襲われて死亡した事件で、県警は「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」が背後にいるとみて、捜査を始めた。匿流による事件はこれまでも死者が出るなど重大な結果が生じており、警察が対策に力を入れている。 匿流が注目されるようになったのは、「ルフィ事件」がきっかけ。2022~23年に東京や千葉など5都府県で相次いだ強盗事件を指し、このうち東京都狛江市の事件では、住人の女性(当時90)が亡くなった。 一連の事件では、フィリピンにいる指示役のグループが背後にいた。指示役は「ルフィ」などと名乗り、現地から日本にいる実行役に指示を出していたされる。 実行役などとして、18~64歳の男女44人が逮捕され、7割超が20代以下。多くが高額な日当などをうたってSNSで募る「闇バイト」に応じて、各地から集まっていた。 ルフィ事件とは別に、24年8~11月には首都圏で同様に闇バイトが絡む強盗事件が18件起きた。このうち横浜市青葉区の住宅では、住人の男性(当時75)が手足を縛られて死亡しているのが見つかった。 これらの事件でも、匿名性の高い通信アプリで実行役に指示を出していたとして、男4人が逮捕されている。 匿流による事件は強盗にとどまらない。 闇バイトに応募した人たちを東南アジアに渡航させ、現地の拠点から日本に偽の電話をかけるといった特殊詐欺のほか、近年では、応募者の口座に被害金を振り込み、別の口座に移させる「送金バイト」という新たな手口も増加している。 匿流は、事件ごとにメンバーを入れ替えて犯行を繰り返しており、中核的な人物が見えにくいのが特徴だ。実行役の中には、指示役に実家の住所などを把握されて、脅されて抜け出せない人もいるという。 警察は対応に力を入れる。警察庁は25年10月に「匿流情報分析室」を発足。警視庁も「匿流対策本部」を新たにつくり、46道府県警から捜査員を集めた「匿流ターゲット取り締まりチーム」を設置した。(山本知佳)