逮捕直後の容疑者側の依頼で駆け付け、無料相談に応じる「当番弁護士制度」から離脱する弁護士が相次いでいる。弁護士全体の数は年々増加する一方、制度への登録者数は減少。日本弁護士連合会(日弁連)によると、昨年の登録率は30・7%で統計開始以降で最低となった。当番制度は各弁護士が支払う会費などでまかなわれ、運用も登録弁護士の「社会奉仕の精神」に支えられてきたが、こうしたあり方は限界に近づいている。 ■逮捕直後に支援、自主的な制度 当番制度の対象は逮捕から勾留までの最長72時間で、接見1回を無料で行う。容疑者が動揺するこの間に無理な取り調べが行われ、冤罪(えんざい)が生まれる恐れがあることなどから平成2年に大分などの弁護士会で始まり、全国に広まった。国が費用を負担する国選弁護制度は30年に勾留後の全ての容疑者に対象を広げたが、勾留前は依然、弁護士会の自主的な当番制度に守られている。 日弁連によると、令和7年の弁護士数は過去最多の4万5000人超で、このうち当番制度に登録しているのは約1万4000人(2月時点)。派遣要請は近年増加傾向で年間約4万件に上るが、登録率はピークだった平成28年の47・1%から約16ポイント低下。登録者もこの間に3700人以上減った。 中でも深刻なのが大阪だ。大阪では毎日30~40人ほどに「待機」を割り当て、容疑者側から弁護士会に依頼があれば、待機する弁護士に各地の警察署に向かうよう連絡する態勢を取っている。 大阪の登録者数は、28年以降に1816人(登録率41・8%)から1088人(同21・9%)に減少。直ちに数が足りなくなっているわけではないものの、制度持続の危機として、昨年7月に「緊急事態」を宣言して会員に登録を訴えた。 ■背景に報酬の低さ 低下の背景の1つとなっているのが報酬の低さだ。当番として接見した場合、交通費を含め1万円ほどが弁護士会から支払われる。ただ当番弁護士はそのまま国選弁護人を受任することが多い。 裁判員裁判以外の容疑を認めた事件でも1審判決までは数カ月を要し、報酬は15万~20万円程度。接見や示談交渉にも時間がかかり、ほかの仕事は制限する必要がある。経費を考えれば「まじめにやるほど損をする」ともいわれる仕組みだという。