犬の散歩、金魚にエサ…容疑者から過剰要求も 「パシリ」じゃないよ、当番弁護士の悲鳴

国選弁護の対象にならない逮捕直後の容疑者のもとに駆け付ける「当番弁護士」の担い手が減り続けている。各弁護士が支払う会費などで費用全額をまかなう弁護士会の自主的な支援の仕組みだが、実際に出動する弁護士の割合は減少傾向で、特に大阪では、休日の待機シフトを埋めるのに苦慮することもあるほどの状況に陥っている。いったいどんな仕事なのか。 ■将来の道筋つける役割 「ぜひ引き受けてもらいたい案件があります。罪名は強盗致傷です」。大阪弁護士会の水谷恭史弁護士(53)に会から〝出動要請〟の電話がかかってきたのは、昨年1月の休日の昼だった。 弁護士全体の約2割に当たる千人超が当番弁護士に登録する大阪では、毎日約30~40人にシフトが割り当てられ、年間9日ほどが待機日になる。水谷さんはこの日、朝から自身の事務所で待機。電話を受け、大阪市内の警察署に向かった。 接見したのは若い男性だった。飲酒しタクシーで帰宅した際、料金を払わず運転手を押し倒して逃げたとして前日に逮捕されていた。警察から強盗致傷の罪の重さを伝えられた男性は混乱し、おびえた様子だった。 話を聞くと、男性は手持ちの金がなかったため、自宅に取りに帰るつもりがそのまま寝てしまったという。仮に起訴されると罪の成立を争うべき事件だが、料金を支払わなかった男性に非があるのは確かだ。水谷さんは「被害者に許してもらえるかどうかで処分が決まる」とアドバイス。勾留後に国選弁護人となり、示談交渉を始めた。 被害者は当初は処罰感情が強かったが、水谷さんが勤務先に何度も足を運んで、男性が書いた謝罪の手紙を渡し、反省している様子を伝えるうちに態度がやわらいだ。その後、示談が成立。男性は不起訴となった。 容疑者が冤罪(えんざい)を訴える場合、当番弁護士の役割が重要となるのは言うまでもない。だが犯行や自身の非を認めている事件でもそれは同じ。「将来をやり直せる道筋を作ることが弁護士の役割だ」と水谷さんは話す。本当は国費で制度を支えるべきだと考えるが、弁護士の「社会的使命」として取り組んでいる。 ■度が過ぎる要求も

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