ChatGPTには「まあまあ落ち着いて」が通じない? 巨人・阿部監督を辞任に追い込んだ“文脈なき正論”のわな

プロ野球・巨人の阿部慎之助監督が、シーズン途中で突如逮捕・辞任するという衝撃的なニュースが飛び込んできた。 一見、野球界の大スキャンダルだが、各紙の報道や、代理人が公開した当事者である娘(18歳)の手紙によると、事の発端は日常的な親子げんかによるもので、娘が「ChatGPTに相談したこと」が逮捕劇の引き金になったという。 手紙の内容などから事の顛末(てんまつ)をざっくりまとめると、こうだ。 ・家庭内での姉妹げんかを止めようとした際、娘から言い返されたことに腹を立て、襟元をつかんで投げ飛ばすなどの暴行を加えた ・娘にけがはなかった ・娘がChatGPTに相談した ・ChatGPTは「匿名で相談できる児童相談所がある」と提案した ・娘はそれに従って電話をかけた ・連絡を受けた児童相談所側が警察に通報、阿部監督が現行犯逮捕された ・阿部監督と娘との間に過去のトラブルはなく、既に釈放されている ここまで5月25日午後6時から26日未明までの出来事である。これについて、娘は「警察が来て一番驚いているのは私自身です。父が目前で連行される姿をみて、私は泣き崩れてしまいました。みなさんをお騒がせしてしまい大事になったこと深く反省しております」と明かしている。 ここで重要なのは、「ChatGPTが悪さをしたわけではない」という点だ。 当時、阿部監督の娘は感情が高ぶり、切迫した表現でAIに状況を入力したのだろう。本人も手紙の中で「私の過度な状況説明によって報道内容が事実と異なってしまった」と説明している。 もし、相談相手が人間なら、文脈やけがの有無を確認して「まあまあ落ち着いて」「お父さんも言い過ぎただけだよ」となだめることもできる。しかし、AIは入力されたテキストを文字通りに受け止める。 「父親にひどいことをされている」と書かれれば、AIはリスクヘッジを最優先して「児童相談所などの公的機関を頼るべき」と返すだろう。法律的にも倫理的にも、これは正しい回答だ。AIはただ、忠実に仕事をこなしたにすぎない。しかし、この優秀さこそが、今回の事件の最大のわなともいえる。

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