TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤激論サミット」(毎週金曜20:57~)。今回の放送では、防犯アドバイザーの京師美佳さんを迎え、ストーカー行為をどう抑止するかについて徹底議論。番組前半では、ストーカー対策の現状や加害者へのカウンセリングの重要性などについて取り上げました。 ◆ストーカーの不安を感じたらすぐに! 今年3月、池袋にあるポケモンセンターで女性店員が元交際相手の男に刺され死亡するいたましい事件がありました。容疑者の男はこれまでもストーカー行為を働いており、被害者は警察に何度も相談。警察も順次対応していましたが、事件を防ぐことはできませんでした。去年12月に「改正ストーカー規制法」が成立するなど国もストーカー対策に乗り出していますが、凶悪な事件に発展するケースは後を絶ちません。 その背景のひとつには、加害者の治療が進まない現状があります。池袋の事件でも、警察は容疑者に対し医療機関での受診・カウンセリングを促すも容疑者が拒否。人権にも関わるため、現行の法律では治療を強制することはできません。また、GPSによる行動監視の義務化を望む声も高まっていますが国は慎重な姿勢で、実現には技術面や管理コストなどの課題もあります。 守らなければいけないのは“被害者の命”か、それとも“加害者の人権”か。この日は、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司さん、気象予報士でフリーキャスターの根本美緒さん、ジャーナリストの春川正明さん、さらにはストーカー対策の強化を求めている防犯アドバイザーの京師美佳さんを交え、ストーカー行為をさせない社会づくりについて議論しました。 まず、ストーカー問題について根本さんは「例えば(進行方向が)ずっと一緒になってしまった場合、それがストーカーかと言われると……。どこからがストーカーなのかがすごく曖昧」と率直な疑問を投げかけると京師さんは「例えば継続したつきまとい、LINEでも継続して送られている場合はストーカーと認められることはあります。(その行為が)1回限りだとなかなかなか難しい」とその線引きを指摘。 そして、「少しでも怖い、不安だと思ったらすぐに警察に相談していただいた方がいいです。被害がひどくなってからだと、そこから(誰がその行為をしているのか、携帯キャリア等に対して)確認するのに3ヵ月〜半年程度かかる。不安だと思ったらすぐに相談しておけば警察はいざという時すぐに動いてくれるので、少しでも早く相談に行った方がいいです」と声を大にします。 さらには、「警察署に行くのは敷居が高いという時は、『#9110』という警察相談電話があります。110番は緊急、、まずはそこで相談していただくと、最寄りの警察署と連携をとってくれるのでぜひ相談してください」と言います。 ◆加害者への支援にもなるカウンセリングの重要性 ストーカー行為を防ぐための手段のひとつに「加害者へのカウンセリング」があり、警察も加害者らを治療機関につなぐ取り組みを強化しています。しかし、人権侵害に当たる可能性があるため法的な強制力はなく、受診するかどうかは加害者側の任意。池袋の刺殺事件でも加害者はこれを拒否していましたが、2024年の受診率はカウンセリングなどを働きかけた加害者3,271人のうち、実際に受診したのは184人。5.6%にとどまっています。 この数字に峯村さんは「衝撃ですね」と驚きつつ、「海外ではカウンセリングが進んでいると言われているが、日本ではまだまだ抵抗がある。そこをもう少し改善、日本的なやり方やカウンセリングのハードルを下げる方法を考えていかないといけない」と危機感を募らせます。 京師さんも大きく頷き、「(加害者は)一定のボーダーラインを越えて犯罪行為を犯している時点で一般の方とは精神状態が違う。でも、(本人は)それを認識していないし、迷惑だとも思っていない。それが犯罪であることをわからず、自分は悪くないと思っているので相手に危害を加える」と加害者の心理に言及。 加えて、「本来であれば強制的な治療・カウンセリングが必要。それをしないので再犯が起きている。カウンセリングは加害者への支援にもなるので、強制的に受けさせ、必要であれば薬剤投与も含めて治療すべきだと私は思います」と主張します。ここで峯村さんは、「治療すると効果はしっかりと出るのか?」と質問。すると京師さんは「カウンセリングを受けたら9割の人が再犯しないというデータがあります」と回答。 一方、春川さんからは「日本のストーカーは、もともと交際していたケースが多い。だから加害者からするとどこからが犯罪なのか自覚が難しいのではないか」との意見が。これに京師さんは、「好きという気持ちから始まり、犯罪までいってしまう。本人はその境界がわかっていないので、外部が教えてあげないといけない」と答え、さらには「通常、ストーカー行為をする方は警察から警告があると8割がやめる。そこでやめない2割が強硬手段に出る。彼らはちょっと注意したぐらいでは止まらない。池袋の事件もそうで、警察が一度逮捕しても止められなかった。現行法の限界があります」とも。 また、根本さんから「カウンセリングを受けるよう家族から促すのはどうか」という案がありましたが、京師さんは「家族の方が協力的な時もあるが、身内かわいさで『家族は悪くない』、『息子・娘は悪くない』と受け付けない家族の方が今まで見てきた中では多かった」と過去の経験をふまえ答えます。 ◆元ストーカーが語る加害者の心理 カウンセリングの必要性について、今回はストーカー加害者の更生支援団体「ストーカー・リカバリー・サポート」代表の守屋さんにも話を伺いました。 まず守屋さんは、「重症度が上がるにつれて、カウンセリングだけでは防ぐことは厳しくなる」と言います。そして、「ストーカーにも段階がある。下から“リスク”。これは当人同士が話し合って解決できる段階で、カウンセリングや更生プログラムなどで犯罪抑止につなげることはできる。その次が“デインジャー”で、頂点が“ポイズン”。この段階になるとカウンセリングや通院治療では無理。閉鎖病棟で最低2〜3ヵ月、半強制力を伴う医療保護入院がベスト」と解説。 実は、守屋さん自身もストーカーだった元加害者。それだけに加害者心理も熟知しており、「被害者に対して執着するのは、加害者からしたら趣味みたいなもの。被害者に『この野郎!』と言われたとしても、『僕のことを構ってくれた!』とご褒美になる。これが加害者の究極の心理。だからなかなか治療につなげられない」と語ります。 そして、加害者が治療を受ける仕組みをどう作るべきか聞いてみると、「治療や更生支援の強制義務化。でも、その前に被害者を守る観点からGPSの装着義務の強制義務化」と断言。「そこの大きな壁は“人権”。ただ、ものはいいようだと思う。法律での義務付けは、被害者を守ると同時に加害者自身を守ることにもつながる」と訴えます。 守屋さんの話にキャスターの堀潤は深く関心しつつ、ストーカー事案は「恋愛なのかどうか」で考えるのではなく、迷惑行為そのもので判断していくことが大事ではないかと私見を語ると京師さんも賛同。 「恋愛関係なくストーカー行為をする人間もいるので、恋愛だけで括るのは危険。迷惑行為をしている人は“ストーカー”という括りで扱わないと。例えば同僚から妬みでストーカーされたり、ご近所トラブルでもありうる。ただ、多くは恋愛感情のもつれで、被害に遭われている方を守るという意味ではGPSの装着も今後必要。議論していただくべきだと思います」と話していました。 番組後半では、加害者へのGPS装着による行動監視の是非について徹底議論します。