80代の女性から1千万円をだまし取ったなどとして、警視庁が指定暴力団住吉会幸平一家の傘下組織幹部の男(30)=東京都足立区=ら2人を詐欺容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、この幹部の男が特殊詐欺の受け子グループを取りまとめる指示役で、これまでに関与した疑いのある事件が1都4県で計28件、被害額は計約2億円にのぼるとみている。 今回の警視庁の捜査では、80代の女性が受け子に手渡した1千万円が、わずか約2時間で暴力団幹部に吸い上げられていく状況が浮かび上がった。 2人の逮捕容疑は、何者かと共謀して2025年1月30日、東京都練馬区の80代の女性から現金1千万円をだまし取ったというもの。事件をめぐっては、女性宅で現金を受け取った「受け子」とみられる30代の男と、この男から現金を回収した「回収役」とみられる50代の男が、既に詐欺容疑で逮捕されている。 ■窓が開くと…… 手口は、親族をかたるものだった。女性宅には夕方、めいの息子をかたる男から電話がかかってきた。男は、電車内で会社のキャッシュカードが入ったカバンをなくし、現金が必要になったなどとうそを言ったという。信じ込んだ女性は、自宅の押し入れにしまっていた現金1千万円をポリ袋に包んで手提げ袋に入れ、めいの息子の「部下」として訪れた30代の男に手渡した。 そこからは、リレーのように大金が回収されていった。この男は約30分後にタクシーで公園へ行き、現金を50代の男へ渡したという。 現金を受け取った50代の男が自宅に帰ると、しばらくして1台の車が自宅近くに到着。車の窓が開くと、男は乗っていた人物に現金を手渡したという。 警視庁は、この人物が、今回逮捕した幹部の男とみている。現金が女性宅から運び出されてから、幹部の男とみられる人物に渡るまで、2時間ほどだった。 警視庁は、現金の行方をさらに調べている。 捜査関係者によると、幹部の男が関与した疑いのある特殊詐欺事件は、24年10月~25年12月に東京都と宮城、埼玉、神奈川、三重の各県で確認されているという。いずれも親族をかたって現金をだまし取る手口だった。 これまでに警視庁は、これらの事件で受け子をした疑いがある福岡県の10~30代の男女3人も詐欺容疑で逮捕している。(板倉大地、西岡矩毅)