小学館は3日、公式サイトを更新。同社の漫画配信アプリ「マンガワン」において、性加害で逮捕歴のある漫画家を別名義で新連載の原作に起用していた一連の問題で、第三者委員会による調査結果を報告した。同委員会は「人権意識及び感度が組織全体に十分に浸透していたとは認め難い」と指摘した。 第三者委員会は「小学館は、出版社として、長年にわたり表現の自由を重要な価値として尊重し、その実現を支える役割を担ってきた。出版物の編集現場においても、作家や編集者によ る創作活動や表現活動をできる限り尊重すべきであるとの考え方が広く共有され、表現の自由という人権や出版社として有する編集権を守る意識は非常に高かった」とした上で、「小学館においては、これらの「人権」それ自体の重要性や自社・グループ会社及びサプライチェーンを対象とする人権尊重の必要性につき、コミック局やポスト・セブン局等において確認されたように、必ずしも組織全体で十分に認識されていなかった」と指摘した。 「人権侵害を受けた被害者の保護や救済、人権侵害への助長又は加担の防止及び優越的地位を利用した性的加害の防止といった観点について、意識及び感度が組織全体に十分に浸透していたとは認め難い」とし、「マンガワン」において性加害で逮捕歴のある漫画家を別名義で起用した事実について「人権侵害への助長又は加担と評価されてもやむを得ない対応を行った」とした。 そして「小学館においては、表現の自由を尊重し、編集権を重視する企業文化が形成されていた一方で、人権侵害の被害者の保護、人権侵害への助長又は加担の防止及び優越的地位を利用した人権侵害の防止という観点が十分に共有されていなかった。このような人権侵害問題に対する意識及び感度の不足は、本事案及び類似事案を招いた根本的な原因であると指摘できる」と結論づけた。 小学館は公式サイトで調査報告書を公開し、「この度、当社において発生した事案にて被害を受けられた方々に、まずは心よりお詫び申し上げます。また、読者の皆様、作品をお寄せくださっている作家・クリエイターの皆様、お取引先様、関係者の皆様にご迷惑とご心労をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。 今年2月27日、「マンガワン」編集部は、漫画「常人仮面」の原作者・一路一氏は、2020年に児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の罪で罰金30万円の略式命令を受け、当時連載中だった「堕天作戦」が休載になった山本章一氏と同一人物であると公表。22年に「一路一」のペンネームで新連載「常人仮面」がスタートしたことについて「原作者の起用判断および確認体制に問題があった」と認め、「常人仮面」の配信中止と単行本の出荷停止を発表していた。 翌28日、小学館は「会社として管理監督責任を問われる重大な事案であり、人権・コンプライアンス意識の欠如があったと認識しております」とするコメントを発表。外部弁護士で構成される第三者委員会の立ち上げなどを報告していた。