「俺はトクリュウなんかじゃない」国家権力に押された〝烙印〟に苦しむ男性は涙ながらに訴える。 警察庁が摘発に心血を注ぐ「匿名・流動型犯罪グループ」の犯罪に加担したとして逮捕され、その後不起訴となったが、世間からの偏見に苦しみ、大切な〝家族〟も失ったという。 「トクリュウ」とはなんなのか。誰がそう決めるのか。男性の過酷な経験を通して、警察権力暴走の危うい実態と、それを助長するマスコミが抱える問題を暴く。 【覚えのない容疑で身柄を拘束され……】 5月14日、栃木県上三川(かみのかわ)町の閑静な住宅街で事件は起きた。男3人が強盗目的で民家に押し入り、69歳の女性をバールで殴打した上にナイフで突き刺すなどして殺害。犯人は、駆けつけた女性の息子2人にも重傷を負わせて逃走した。 事件発生から2日のうちに運転手役の男を含む4人が逮捕されたが、犯行グループの身元が明らかになると衝撃はさらに広がった。 「4人はいずれも高校生を含む少年でした。その後、実行犯への指示役として横浜市の20代夫婦が逮捕され、事件の主導役として48歳の男の関与も浮上した。 グループは秘匿性の高い通信アプリでつながっており、警察は『トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)』による事件として捜査を進めています」(全国紙社会部記者) これに限らず、トクリュウが関与する事件は頻発している。時事通信社によると、昨年全国で起きたトクリュウ関連の事件で1万2178人が検挙され、そのうち1322人が10代だったという。 トクリュウの脅威がいかに社会をむしばんでいるかがわかる。だが、これから記すある男性の告発を聞くと、この数字をどこまで額面どおりに受け取っていいものか、という疑問も浮かんでくるだろう。 「トクリュウというレッテルを貼られてすべてを失いました」と力なくつぶやくのは、西日本の地方都市に住むAさん(40歳)。 異変があったのは昨年5月上旬。個人間で暗号資産(仮想通貨)を売買する「相対(あいたい)取引」をしていたAさんの銀行口座が突然、凍結された。