大崎事件、97歳女性の第4次再審請求を最高裁は棄却

三度も再審開始決定が出されては取り消されるという異例の展開となった「大崎事件」は、今回も再審への扉が開かなかった。 1979年に鹿児島県大崎町で男性が変死した事件をめぐり殺人犯とされて懲役刑に服し、無実を訴えていた原口アヤ子さん(97歳)の第4次再審請求特別抗告審で、最高裁第三小法廷(石兼公博裁判長)は「有罪に合理的な疑いが生じる余地はない」として請求を棄却する決定を2月25日に下した。 確定判決(81年1月、最高裁)によるとアヤ子さんの夫の弟(三男)のAさん(当時42歳)が79年10月、自転車で走行中に道路脇の側溝に転落して倒れ、近くの住民に軽自動車で自宅まで運ばれた。その後、普段から酒癖が悪かったAさんを疎ましく思っていた夫とその弟(二男)Bさんがタオルで首を絞めて彼を殺害し、遺体を牛小屋の堆肥に隠したとされた。アヤ子さんと夫、Bさんが殺人と死体遺棄容疑、Bさんの息子のCさんが死体遺棄容疑でそれぞれ逮捕・起訴され、いずれも裁判を経て有罪が確定した。アヤ子さんは一貫して無実を主張したが、81年に懲役10年の刑が確定した。 満期出所したアヤ子さんは再審を申し立て、2002年には鹿児島地裁が再審開始を認めたが(第1次請求審)上級審が06年までに取り消した。第2次請求審(10~15年)は裁判所が一貫して請求を認めず、第3次請求審(15~19年)は地裁と高裁が再審開始を認めたが最高裁が取り消した。20年からの第4次請求審では地裁、高裁でも棄却された。アヤ子さんは現在では施設で暮らすが、身体が弱り、会話もままならない状態だ。

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