熊本県警の捜査を「一部違法」と認める 熊本地裁

覚醒剤取締法違反などの罪に問われた男の裁判で、熊本地方裁判所は、実刑判決を言い渡した一方で、「熊本県警の捜査の一部が違法だった」と指摘しました。 覚醒剤取締法違反と脅迫の罪で判決を受けたのは、熊本市中央区の無職、高橋良彰(たかはし・よしあき)被告(51)です。 高橋被告の弁護人によりますと、高橋被告は2023年4月、妹へ「殺しに行く」「必ず殺す」などのメッセージを送って脅迫したとして逮捕されました。 この事件を受けて、熊本県警荒尾警察署は、2024年5月、携帯電話やメモ帳などを証拠として差し押さえるために、脅迫の疑いで高橋被告の自宅を家宅捜索しました。 警察はその際、自宅のリビングにあったガラスパイプとストロー、計量器について写真を5枚撮影しましたが、高橋被告は「今回の容疑と無関係だ」として撮影を止めるように訴え、警察は撮影を止めました。 しかし、警察はこれらの写真を証拠資料として裁判所に提出し、高橋被告に対する強制採尿の令状を請求し、令状が発行されたということです。そして、高橋被告の尿が調べられ、覚醒剤の使用反応が確認されたということです。 高橋被告の弁護側は、捜査手順に違法行為があったとして、無罪を主張する一方、検察側は懲役2年6か月を求刑していました。 そして13日の判決で熊本地裁の賀嶋敦(かじま・あつし)裁判官は、令状に基づかずに写真撮影をしたことについて「一部違法だ」と認定しました。 そのうえで「証拠写真がなくても強制採尿の令状は発布できたと考えられる。鑑定結果に違法性はない。撮影自体について重大な違反ではない」として、高橋被告に懲役1年6か月の判決を言い渡しました。 熊本県警荒尾警察署の山中博史(やまなか・ひろし)副署長は「判決を把握できていないのでコメントできないが、今後も引き続き適正な捜査に努める」としています。

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