「自転車だと思っていた」が無免許運転で逮捕 “改造自転車”は自転車かバイクか? 電動バイクの新たな課題

警視庁上野警察署は2025年5月18日、ウズベキスタン共和国国籍の無職33歳男を、道路交通法違反(無免許運転の禁止)で逮捕しました。“自転車のような電動バイク”の無免許運転ですが、これまでと異なる問題が浮彫りになっています。 男は同年5月8日午前8時35分頃、東京都台東区上野4丁目付近の道路を走行中に警察官からの職務質問を受けたことがきっかけで、自転車が電動化されていることを指摘されました。現場は交通量の多いJR上野駅前の繁華街です。 今回の逮捕は、本来運転免許が必要な電動車を、免許不要のアシスト自転車や特定小型原付と思い込んで運転したケースとは異なる事件でした。男が乗っていたのは、もともとは人力の自転車として製造された車両です。 それだけで無免許運転に問われることはありませんが、今回は自転車に電動モーターを後付けで搭載することで、ペダルをこがなくても前進させることができる「改造車」であることが問題でした。こうした後付け装置は「電動自転車モーターキット」「自転車電動ブースター」として大手通販サイトで販売されています。 電動車は免許不要の新しい乗りものとしての支持が拡大しています。その一方で、原付バイクの法定速度30km/hを超える走行性能を有する車両でも、免許の必要性が明確にされないまま販売されてきました。そうした車両が関係する人身事故が社会問題化することで、販売時の問題点が指摘され、完成車では状況が改善しつつあります。 しかし、人力自転車を電動化する後付け装置は、踏力をモーターの駆動力に置き変える方式や、踏力とは別に、タイヤへ回転を伝えることでアシスト力を付けるさまざま方式で売られています。 これらは自転車を電動化するという点に着目すると、電動自転車や電動アシスト自転車と呼ぶこともできます。後付け時のアシスト比率は明確ではなく、もともと改造自転車のため方向指示器や前照灯も整っていません。販売サイトで免許の要否が明示されていなくても、運転者が最高速度を予測して免許などの適切な対応を織り込んでおく必要があります。 逮捕時の車両について男は「後付け装置は自分で購入したものではなく、譲り受けた車両に取り付けられていた」と説明し、「自転車だと思った」という内容の供述をしています。担当した上野警察署は無免許運転の容疑について「一般原付自転車以上の二輪車を運転したもの」と、公表しています。今後の捜査の進展によっては原付の無免許では終わらない可能性もあります。 電動化した改造自転車を公道走行させることは、全面的に運転者が責任を負うことになる現状。新しい乗りものの利用と販売に一石を投じる摘発です。

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