性的少数者の水泳大会、出場を辞退する選手たち トランプ政権の多様性政策撤廃で

米首都ワシントンでLGBTQ+(性的少数者)の権利を訴える6月の「プライド月間」に合わせて開催される水泳選手権。だが、一部のカナダ代表のLGBTQ+の選手らは、出場辞退を選択しているという。トランプ米政権が多様性政策の撤廃を進める中、米国内で差別的な扱いを受けるのではないかと懸念を示している。 トランスジェンダーのアスリート、ライ・シスラー選手は、世界プライド水泳選手権に背泳ぎで出場する予定だった。シスラー選手が所属する競泳チーム「トロント・パープルフィンズ」は、米ワシントンで行われる試合への出場を辞退した。米国内で差別的な扱いを受けるのではないかと懸念しているという。 「私の権利、チームの権利は尊重されるだろうか。存在を理由に逮捕されることはないか。暴力を受けた場合、当局が加害者でなく私たちを守ってくれるか。全ての質問に明確に同意できなかったため、不参加にせざるを得なかった」 トランプ大統領の政策や一部の州法が、大会開催に影を落としている。 「本日から、性別は男性と女性の2つのみというのが米政府の公式方針となる」 トランプ氏は就任初日、LGBTQ+への差別と闘う施策などを無効化。米国はいま、トランスジェンダーやノンバイナリーの国民に対し、性自認を反映させたパスポートを発行していない。 トロントを拠点とする水球選手のステファニア・ベレズナイさん 「私は今の外見からノンバイナリーとして目立っているわけではないと思う。だから、身体的な安全に関する不安はあまりない。ただ他人が不快に感じている、自分が受け入れられていないと思う場所には行きたいとは思わない」 「明らかに、例年の参加者数よりも少ない」 大会を主催するIGLA+のロザリンド・マクリー共同会長は、参加者の安全を確保するため、最善を尽くしていると述べた。 「参加する海外や米国の選手らは、出場することで声を上げるだろう。私たちは自分たちのコミュニティーのために戦う それが非常に重要だ。ただ座って静かにしているのではなく、立ち上がるのだ」 「ここなら安全だ」 非営利組織「キャピトル・プライド・アライアンス」のライアン・ボス氏は、出場辞退という決断を尊重するとしつつ、連帯して出場するよう呼びかけた。 「選手らには、この場所が安全だと感じる限り、実際に来てほしいと思っている。それこそがプライドに基づく反抗心であり、いま希望を持てないと感じる人々に示すことができるメッセージだ」

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